匿名ゆき  2014-11-23 17:15:10 
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無題が僕らを苦しめる。
だから分類を通し、平行線の公理のように事象を定義付けてきた。

本当はそうではない。

題は彼らを濁らせる。
事象はいつも題を欲しがっているが、あまり顔を出してこない。
僕らが絶対的性質を愛しているのと同じぐらい、彼らは偶然的性質を愛しているから。
これを例えるなら、僕らは多様性を駆使して愛を維持し続けることに必死だが
事象は素晴らしい逢瀬のきっかけにのみ固執し、本来の多様性を隠して生きたがる。
ここに集約されるだろう。

僕らが与えた題は、透き通り過ぎていている。
濁りきった水溶液を飲まされているにも関わらず。



思考の周辺とか、暇潰しに書いていきたいな。
勉強のこととか、本や音楽とかも。

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  • No.163 by 匿名ゆき  2019-09-09 02:14:22 

旅:信念,確信から確証への切符

『群集』という題の短編がある.
この物語は一人の青年が交通事故に遭遇したところから始まる.
辛うじて一命を取り留めた青年に,すかさず足音が迫ってくる.
それは群れを成し,まるで彼を閉じ込めるかのような檻を形成してしまった.
彼はその檻の中で,凄惨たる状況にも関わらず冷静に人の集う,その素早さに気を取られていた.
『何故彼らはこんなに早く集まって来られたのだろうか?』
もちろん野次馬精神に煩わしさを感じている心理描写もある.
自身が危機的状況に置かれている状態で,他人に一方的に覗かれ続けるのは不快なことだろう….

救急車に運ばれ事なきを得た彼は,数日間ベッドの上で眠り続けていた.
目を覚ました後も群集に不可解さを覚えていた彼は,恥ずかしながらも主治医に対して自分の思考を打ち明けた.
記憶違いかもしれないとは話すものの,明晰な彼が病院おくりにされる前に捉えたものは,事実であれば確かに不可解なものだと言えるもの―事故で大破した自動車の車輪が止まっていないのにも関わらず,彼の周りには既に何人も集まっていた(=)―だった.

物語の結末については,ここでは差し控えるが,私の興味を強く惹きつけているのはこの物語の終着点ではなく,彼の中に生じた疑念を確実なものに仕上げようとする彼の精神にある.
二週間後,彼は再び交通事故の瞬間に出くわすのだが,腕時計の秒針を確認しながら群集の構成されるまでの時間を計測する強迫的な姿には,ある種の人々の心を惹きつける魅力がある.
執念を持つ人間の行動には,熱意を持って物事に取り組む人間に似たものがある.
共通点は「確信」である.
信念ともいえるものかもしれない.

この物語の筆者はレイ・ブラッドベリという小説家なのだが,彼はエドガー・アラン・ポーから強い影響を受けている.
後継者である,とまでいわれているぐらいだ.
確かに『群集』の主人公とポーの物語の主人公やポー自身の思想を比べてみても,共通要素が多く見つかる.
冷静な狂気.狂気の自覚.

『構成の原理』というポーの詩論がある.
これは文学的創作においてどういったものが必要になるかを論考したものである.
これがなかなか面白い.
『大鴉』という有名な詩が,いったいどのように作られたかを作者自身でまとめたものなのだが,恐ろしいまでに論理的な過程を見せつけられ,高揚する精神を隠し切れず一人で笑ってしまった.
構造主義的思想がいたる所から窺える.
詩の形式的構造が詩の意味や精神性を決定する,とまで言い切る彼の,詩以外の物語を読んでみると分かる.
冗長性を徹底的に廃し,不必要な情報が全く入り込んでこない文章に美しさを感じてしまう.
無意味に空間の細部を描くことなく,必要最低限の基本的な道具のみで登場人物を引き立てていく彼の文体は,数学的阿片と呼ばれるに相応しいのだろう.

冗長性のある物語とはどういったものか,自分なりに考えてみた.
例えば,ある街から別の街へと移る際,前者の街が再利用されない限りは冗長性があるといえるかもしれない.
それは読み手に街の存在を『記憶』させてしまうからだ.
街の再利用を究極的に突き詰めると,それは結局一つの街,一つの空間だけで良い,ということになる.
その街だけで全てを始め,全てを終えれば良い.
固有名詞なども必要ないのかもしれない.
物語において名前が重要になるのは名前を使ったギミックが存在する場合のみで,特別名前を付ける必要はない.
『記憶』にこだわるとすれば,出来る限り登場人物を少なくするべきだろう.
この点から考えてみても,個を規定する情報についての補足など殆ど必要ない.

しかしポーの物語を読んでみると登場人物の個を強く際立たせているものがある.
それも,大量に登場させている….
「推理小説」は彼に最も適したスタイルだっただろう.
この場合,特出した個を見せびらかすことは,粛々と少数で世界を広げるよりも効果的であるのだと判断したのだと推察でき,彼は効果的な演出を促すためならば必要なだけ道具を公理として追加する手法を取っているのだといえる.
実際,彼は物語の終盤から書き始めるのだから,足りなくなれば後から足せば良いだけだった.

私たちが彼らの物語に惹かれるのは,確証に至るまでの信念や執着を抱く姿に自身を重ねようとするからであって,その内容や結果は本質ではないような気がする.
物語の内容ではなく,この場合やはり形式に惹かれているのだろう.
目的地に着くまでが楽しいと思える,旅や山登りのようなものである.
しかし,それを知っている筆者たちは山の頂上から流れる川を追うように文を追加していく.
海から山の頂上に向かうよりも自然に行えることは明らかだろう.
帰りの切符を買う際には,彼らの思考過程を思い出してみようかな.

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