主 2014-10-15 20:55:58 |
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…っなんで…
(自分の言葉を聞いても何も言わない彼女。こんな裏切りを受けてもなお自分とこうして対等に話してくれる彼女。そんな姿をみていると余計に自分が情けなくて、弱いことを思い知って、彼女の優しさに気がづいて。自然と涙が止まらなくなってきて___「なんでっ…なんでや…楓…なんで怒らへんの?こんな裏切られ方してんのになんで罵らへんのや…なんで…''好き''なんて言うてくれるんや…っ」こんな情け無い姿をさらして男としてだらしがない。そうは分かっているのだが後から後から溢れ出てくる色んな感情が涙となって流れてきて。「__…っ…ほんまごめん…もう絶対離さへんから…っ!!!!」一度離れて見た彼女。それはすごく弱く、脆く、愛おしいもので。手放せない。手放せるはずがない。そして今自分は自覚した。''彼女に依存していたのだということ''を。もう一度抱きしめようとすると先程落とした携帯が着信音を響かせる。そこには''早瀬真美''の名が。一旦彼女から離れ携帯を拾えば通話ボタンを押して電話に出る。____そして、電話越しから聴こえてくる相手の声を遮り「…ほんまに…どんだけ空気読まれへんねん。…俺はもう、お前なんかに惑わされへん。あんな辛い思いさせるくらいなら死んだ方がマシや。言うとくけど逆恨みして彼女を傷つけるようなことしたら、俺が許さへんからな。…今なら断言できる。俺の彼女は''如月楓''!!ただ1人や!!!」イラついたように、そして強い意志で彼女の目の前でそう発言すれば携帯を窓の外へ思い切り放り投げて
遊くんが…好きだから……。遊くんしか好きになれないのっ…。
(彼に浮気されたことはとても辛かった。辛かったし、悲しかった。何で、何で浮気なんてしたのっ?何度もなんども思った。だけど、それで彼の問い掛けに答える返答は只一つしかない。何で好きだと言えるか、それは____好きだから。その理由以外何もない。不器用だけど優しい、笑顔が人懐っこい彼が大好きなのだ。彼の問い掛けに頬を緩ませ笑みを見せて。「………うん。」彼の言葉を、彼を、信じたい、そう思った。もう彼が浮気をしない証拠なんてない、もう己を裏切らない確証はない。それでも、彼を信じたいと思った。彼の涙を拭いてあげたい、と思った。「もう…私しか見ないでねっ…」彼が、己しか好きにならないように、己しか見えないように、精一杯彼が己を好きで居続けるように努力するから、己を好きで居て欲しい。上記を述べれば己の頬に涙が一粒伝い。「遊くん…その気持ちは凄く嬉しい。もう一度やり直そうって言ってくれてありがとう……でも、早瀬さんとはちゃんと話し合って。私、遊くんを信じてるから。」窓の外へ放り投げた携帯を取りに行けば彼の目の前に差し出し。頬を緩ませ、笑みを浮かべて。もし、これで彼女の事の方が好きだと分かったのなら彼女と幸せになって欲しい。そんな思いを込めて笑えば
楓…
(今までなにを忘れていたのか。長い歳月が経っていくうち、自分の心は薄汚れ''初心の頃の感情''を失っていた。彼女と話せて嬉しい、彼女に触れられて嬉しい、彼女の顔が見れて嬉しい__彼女に会えて嬉しい。そのような感情を忘れていたのは本当に馬鹿だったと思う。眉毛をへの字に歪ませ困ったような嬉しいような複雑な表情を見せ彼女の名前を口にする。「…ありがとう。」''うん''と言ってくれた彼女に感謝の言葉を述べる。そしてもう一度優しく抱きしめれば「おん…楓…好きやで」と耳元で無意識に囁くような声で告げる。言い終わってからそのことに気がつきなんとなく照れ臭くなって。''あ、付き合いたての頃ってこんな感じやったっ気がする…''昔のことを思い出せば懐かしそうにして思わずそのまま笑みをこぼす。彼女がまだ自分のそばに居てくれる事がこんなにも嬉しいことだったなんて思いもしなかった。「…そやな。ほんなら、今から話し合ってみる。…ちゃんと縁を切られるように。」必ず彼女と元通りになる。そんな思いを込めて前記述べれば彼女を離し、早速真美に電話をかける。「…あぁ、真美。…さっきはいきなり悪かったわ。今から会って話したいんやけど、ええか?…おん、分かった。」電話を切ると少し困ったような顔をする。そして彼女の方を見ると「…楓も連れて来て欲しい…って言うとるんやけど…」と言いにくそうに
……、わ、私も遊くんが好き。……
(己の名前を呼ぶ彼。その、己の名前を呼ぶ彼が好き。心地よい声音が己の耳に入り。嬉しそうに口角をあげ柔らかく微笑み。彼の一言一言に己の胸の傷が和らいでいる気がして。浮気をしている、と分かった時は辛くて辛くて心臓が張り裂けそうだった。でも、彼の言葉一つで心情が変わっていくだなんて。もう己は彼に依存しているのかもしれない。耳元で囁かれればビクッと肩を震わすも嬉しそうに頰を緩めて。己も彼の耳元で囁いてみたり。「……もう、付き合い始めた頃は遊くんと付き合えたことが嬉しすぎて浮かれてたんだよ。」付き合い始めた頃の話を持ち出す彼に己も合わせてクスクスと笑みを漏らしながら。「うん…。」もう彼を信じると決めた。電話をする相手の姿をジッと見つめて。「……大丈夫。…遊くんと一緒だから。」彼の言葉に少しは驚くもへらと笑って承諾し。この流れだと修羅場になるのだろうか。それでも己は彼の隣に居ると決めたから。ギュッと自分の手に力を入れて
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