ハナミズキ 2014-10-01 16:30:45 |
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その中に、かなり激しい腹痛を訴えている患者が居た。
鈴がお腹を触ってみると、内臓が損傷しているようだった。
急いでテントの中で、応急処置の準備に入る。
あらかじめ持って来ていた開腹セットを出し、その場で緊急オペをする。
やはり腹部内に損傷があり、そこからかなりの量の出血が見られた。
出血部分を素早く縫合し、損傷を受けている血管は糸で結び固定をして、止血の為のガーゼを何枚も入れて閉じ、そしてそのまま注意事項を書きヘリで搬送させた。
そして搬送された病院では、その注意事項を見ながら、再手術が施されると言う連係プレイを見せたのだった。
現場の状態が少し落ち着いた頃、鈴の姿が見えない事に気が付いた同僚たちが、鈴の事を探した。
あまりの悲惨な現場で、鈴がどこかで倒れているかも知れないと思ったからだ。
しかし、鈴が姿を現したのは重症患者用のテントの中からで、救急隊員に指示を出していた。
「この人は救急車で良いわ。脳外科の準備をしておくように伝えてね」
「はい!」
「お前はそんなとこで何をやってるんだ」
「見ての通り処置を行ってますが」
「お前はそんな事をしなくてもいい!向こうで怪我人でも見てろ」
佐藤はイライラしながら怒鳴った。
それを見ていた救急隊員の隊長が、口を開く。
「彼女は的確で素早い処置をしてくれてますよ。
さっきの患者も、今までの経験から言わせて貰えば、助からなかったはずの
患者だったんですよ。
それを見事な手術でもたせてくれたんです」
それを聞いた佐藤は、なんだか腑に落ちず、またイラつく。
自分は医師9年目、かたや鈴は試験に受かったばかりの医師1年目だ。
そんな自分が医者になりたてのひよっこに負けるはずがないと思っていた。
佐藤のプライドが傷ついたのである。
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