ハナミズキ 2014-10-01 16:30:45 |
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メスを握った鈴の表情が一変し、それは鮮やかな手つきでスイスイと患部を切り離していく。
あっという間の出来事であった。
手術を変わってからほんの15分程度であった。
手術をしている間も、和也達に説明をしながらこなしていき、こういう場合はこちら側からメスを入れるとか、この部分に触ると破裂をするから絶対に触ってはいけないとか。
それは丁寧に、かつ、分かりやすく説明付だ。
先ほどまで眺めていた佐々木先生とは、雲泥の差があったのは言うまでもないが、それは言わないでおこう。
助手を断った研修医も、初めは遠巻きに見ていたが、その手さばきと説明を聞いているうちに、徐々に前の方に出てきていた。
そして、真後ろに立ち、その手さばきを垣間見るのであった。
八代先生が手術室に到着をした時には、既に手術も終わっており、後は閉腹を残すのみとなっている。
「おや?終わってしまったのか。
僕もDr,リン先生の手術を見たかったのにな」
「「「「 !!!!!! 」」」」
その場にいた者が皆驚いた。
医師や、医師を目指す者がその名を知らないはずがないからだ。
正体不明の日本人で、分かってる事は、Dr,リンと言う名前だけ。
年齢や、性別さえも知られてはいなかった。
ただ、風の噂では、今は日本のどこかに居るらしいという事だけは知っていたが、まさか学生をやっていたとは、夢にも思わなかったようである。
ひょんな事から鈴の正体がバレてしまい、この後から、各科の先生や教授たちから引っ張りだこになったのであった。
治療方針の相談に始まり、病気の見解を求められたり、あげくの果てには自分の研究の相談事もあった。
そして春の実習が終わる頃、教授たちが皆、口をそろえて言った。
「来年は是非にうちの病院に来てください」と。
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