ハナミズキ 2014-10-01 16:30:45 |
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「和也ぁ、お休みぃ~♪」
首に回していた手に力を入れて、和也の顔を引き寄せ、お休みのキスをしたのだった。
その行為に満足したのか、鈴はスヤスヤと寝息をたて始めたのである。
和也はいったい何が起こったのか、少し頭の中を整理するために、鈴が寝ているベッドの片隅に腰を掛け、頭を押さえ込んでいる。
『ハァ~・・・なんなんだこいつは・・・?』
今はもう、面倒くさいとか嫌いとかいう気持ちは無い。
ただ、鈴と言う人間が時々分からなくなるのだ。
頭は良い。
面倒見も良い。
そして何よりも、自分と言う物を持っている。
しかし時々、妙に子供っぽく甘えてくる事もある。
このアンバランスさが危うく感じられ、守ってやらなければと言う父性本能にかられるのだった。
この4年間、いつも側で見ていた和也だからこそ分かる。
講義を抜け出し病院で数時間にも及ぶ手術をこなし、下手をすれば泊まり込みの時もある。
何日徹夜をしても、大学には必ず出席をし、何事も無かったかのように学生生活をこなしていた。
そして今日の様に甘えてくるのは、鈴の母親か和也にだけだ。
普段は淡々として無表情な時が多いのだが、素直に満面の笑みを向けるのは、この二人にだけであった。
この笑顔の意図とするところは、家族と認識しての物なのか、それとも単に、好意を持っている者に対してなのか、その意味は今のところ分かってはいない。
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