ハナミズキ 2014-08-20 16:01:01 |
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「今日はこの先にある町に泊まりましょう」
「次の町はどんな所なんだ?」
「かなり大きな町で、学問が盛んに行われてるわ。
薬師になるための学問所や、官僚になるための学問所とか
各種武芸館もあるわね」
「へぇ~、面白そうな町だね」
わくわくと心を躍らせながら、自分が知らなかった世界を知る喜びを隠しきれないイアンだった。
「イアンも見学がてら腕試ししてみたらどう?」
静かに、ひっそりとたたずむユリの様な可憐な笑みを浮かべ、ほろ馬車の馭者をしているイアンの横に座りながら微笑んだ。
町に着くとさっそく宿屋を探したが、今週は年に2回ある国家官僚・国府兵士・国家薬師の試験が行われる。
大陸全土から、官僚になるためや、武官になるため、国が認めた正規の薬師になるため、大勢の受験者が集まっており、町中人でごった返していた。
そのため、宿屋の空もなかなか見つからない。
「困ったわねぇ~・・・」
「サラ、この路地の奥の方に宿屋がありそうだけど、行ってみるか」
イアンが指をさす方向に歩いて行ってみると、なんともボロイ宿屋が一件建っていた。
「「・・・・・・・・・・・。」」
いかにも何かが出そうな雰囲気だ。
野宿をするよりはましだろうと、思い切ってドアを開けて中に入ってみる。
中に入ると、すぐ目の前にカウンターの様な受付があり、こじんまりとして意外と綺麗に掃除も行き届いている様子だった。
人影が見当たらないので、イアンが声をかけてみた。
「すみませーん」
奥の方から、この宿屋の亭主らしき人物が現れた。
「いらっしゃいませ。
お泊りですか?」
「はい。二部屋お願いします」
「あ・・・すいません。
今日は一部屋しか空いてないんですよ。
ツインの部屋でよろしいのでしたらあるんですが・・・。
いかがいたしますか?」
旅に出る前は、同じ家に住んではいたものの、部屋は別々だった。
この旅に出てからは、野宿をする事も数回あったし、その時はほろ馬車の中で二人一緒に寝ることもあった。
一緒といっても、同じ布団で寝るという意味ではなく、小さな寝台がホロの中に組み込まれており、寝る時だけそれを壁から取り出す組み込み方式の寝台が備え付けられているのだ。
なので、同じ部屋であってもベッドが別々なら、二人にはなんの問題もなかった。
「では、それでお願いします」
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