ハナミズキ 2014-08-20 16:01:01 |
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次の日、サラたちと同じ牢の中にいた者たちだけが、全員外に連れ出された。
連れて行かれた場所はどこかの大きなお屋敷だ。
全員が手かせと足かせをはめられ、逃げられないようにされた。
パーティーでも行われるかのような、大きな部屋に連れて行かれ、その部屋の隅に1列に並ばされる。
しばらくすると、大勢の人たちがやって来て、一人ひとりを舐めまわすように見はじめ、値踏みをする。
立たされた後ろの壁には番号が書いてあり、人々は手にしている紙に番号と金額を書き、昨日地下牢に来た偉そうな男に手渡している。
全員が書き終わったのを見計らい、高値を付けた買い主がそれぞれやって来て連れて行く。
イアンの番になった時、二人は動いた。
「おい。これは国が禁止してる人身売買だろ。
人身売買をした者は極刑だったはずだが、命はいらないと見えるな」
奴隷を購入しようとしていた男はカッとなり、イアンを殴りつけようとしたが、いつの間にかカセを外していたイアンに、逆に取り押さえられる事になる。
その騒ぎに気がついた兵士がかけつけ、イアンを拘束しようとしたが、その兵士達すらもなぎ倒してしまう。
偉そうな顔をしている男が魔法で拘束しようとするが、それすらもはねのけ、その反動で男は吹き飛ばされてしまった。
一方サラの方は、何の罪もない囚われてきた人たちを守るため、個々に薄い膜のような防護壁を身体全体にまとうように貼り付けて守っている。
あらかた片付いたころ、この村の領主が兵を引き連れてやって来た。
「きさまら。このような事をして無事で済むとは思ってまいな」
領主の号令とともに兵士たちが向かってくる。
イアンはきりがないので、魔法でその場に全員を足止めした。
ピクリとも微動だに動かない身体に困惑しながら、威勢のいい悪態だけはついてくる。
「無事では済まないのはお前の方じゃないのか?
この国の法律では、人身売買は極刑だ。
死をもって償わなければならないのは、お前たちのほうだろ」
「ふん。そんなもん魔王様にばれなきゃ問題はない!」
「もう俺にばれてるんだがな・・・」
「きさまにばれたくらい・・で・・・」
領主の顔がみるみる青ざめていく。
いま目の前にいる人物こそが、最近即位した大陸の魔王だと気がついたからだ。
領主はガックリと肩を落とし観念したようだ。
かくして、この領主とそれに加担した者は、その罪の重さにより全て処罰された。
ある者はその命で罪を償い、またある者は魔力を封じ込められ、その一生を人間として生きていかなければならない。
死ぬまで牢獄から出られない者もいる。
地下牢に入れられていた人たちや、栽培場で働かされていた者たちは全て解放され、自分たちの家に帰れる事になった。
サラとイアンは、ニックを連れて家へと向かった。
長男ニックが無事に帰って来た事に、家の者はみな大喜びで、二人に何度も何度もお礼を言っている。
二人が去った後、ニックからイアンがこの大陸の魔王様だという事を聞かされ、腰が抜けるほど驚いたのは言うまでもない。
そしてこの村に新しく就任した領主は、民思いの優しい人で、人々の暮らしは元のように穏やかな暮らしが帰って来たのだった。
――― つづく ―――
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