ハナミズキ 2014-08-20 16:01:01 |
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サラの前に、どう見ても元気そうな子共が現れた。
聞くと、一緒に住んでいるおばあちゃんの足が悪く、まともに歩けないらしい。
歩くと痛みを感じ、ほとんど寝たきりだと言う。
でもおばあちゃんは、忙しいお母さんの手を煩わして、子供たちにも世話をしてもらう、そんな毎日がいやらしい。
家族に迷惑をかけてまで生きていたくないと言い出し、昨日から食事を取っていないらしい。
そんなおばあちゃんが可愛そうだから、おばあちゃんの足を治す薬が欲しいと言う。
おばあちゃんに元気になってもらって、もっと長生きしてもらいたいのだと。
薬だけで治すには、少し時間がかかるため、サラが直接おばあちゃんを診察して治す事にした。
喜んだその子共は、サラたちの仕事が終わるまで、近くで大人しく待っていた。
夕方になり、客足も減ってきたので、サラたちは、その子共の案内で家まで行くことになった。
子共の家に着くと、突然の来客で両親たちは驚いていた。
事情を説明すると、家の人は快く中に入れてくれ、部屋まで案内してくれた。
おばあちゃんは、涙しながら手をすり合わせている。
そして子共の頭を撫でながら
「ありがとう・・・ありがとう・・」
と、何度も言っていた。
父親も嬉しそうな顔をして
「ばーさん、王室の薬師様に診てもらえるなんて、こんなありがたい事はないな。
直ぐに良くなるからな」
そう言うと、父親と母親は、サラたちに深々と頭を下げお礼を言った。
いつもならサラが診察をし治すのだが、今日はイアンにやらせる事にした。
イアンはサラに言われた通りに、おばあさんの足を片方ずつ丁寧に触り、病気の原因となっている箇所を探し出し、そこに自分の気を送り込む。
すると、見る見るうちに足の色艶が戻り、苦痛で顔を歪めていたおばあさんに笑顔が戻ってきた。
10分程度で治療が終わり、イアンはおばあさんの身体を支えながらベッドから起こし、足を床に下ろす。
「おばあさん、気分はどうですか?
歩けますか?」
おばあさんは、「体中がポカポカしてとても気持ちがいいですよ」と言い、ベッドから立ち上がると、全く痛みを感じない事に更に驚いた。
痛みだけではない、身体が軽くなっている気さえもした。
これで明日から家族に迷惑をかけずに、子供たちの世話も、また昔みたいに出来ると大変喜んだ。
お代は幾らかと聞かれたが、見たところ、この家はとても貧しそうに見えた。
「代金でしたら、食事をご馳走してくれませんか?
私たちお腹ぺこぺこで」
と、サラがはにかみながらそう申し出た。
パンと豆のスープだけで、とても貧しい食事だったが、なぜかどんなご馳走よりも美味しく感じた。
しかし、この家の周りには広大な土地があり、そこには色とりどりの花も栽培している。
それなのにこんなに貧しそうなのはなぜなのだろう。
不思議に思ったサラは聞いてみた。
「先代の領主様の時は良かったんですが、いまの領主様がこの村を統治するようになってからは
売り上げの半分を持っていかれてしまうんです」
話を要約すると、いまの領主が先代の領主を殺して、その地位を奪い、大陸全域に出荷している、村の名産物の花に、いままで1割だった税金が5割に値上がり、そのため花に必要な肥料などの経費を差し引くと、ほんの少しのお金しか残らなくなったそうだ。
どうもその領主は強欲で、税金が払えないと働き手である男手や、若い娘を連れて行き、山の中にある秘密の栽培所で働かせているようだった。
しかし、その栽培所に連れて行かれた者は、誰一人として戻ってはきていないという。
そして、この家の長男であるニックも先月連れて行かれたらしい。
その話を聞いた二人は、何か裏があると確信をし、明日、丁度税の徴収があるらしいので、徴収に来る役人にわざと捕まり、栽培所にに居るニックを連れ戻してくると約束をした。
次の日、サラとイアンは、税の変わりに予定通り連行されていった。
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