ハナミズキ 2014-08-20 16:01:01 |
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人々の暮らしを見ながら街を歩いていると、どこからともなく良い匂いが漂ってきた。
食堂街に出たようだ。
店の中に入ると、店内は大勢の客がいる。
どうやらこの店は当たりのようだ。
二人は、その土地の郷土料理を必ず食べるのが、この旅での楽しみの一つになっていたので、さっそくウエイトレスを呼んで注文をする。
注文をしながら、この土地の情報を入手する事も忘れてはいない。
「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?」
「ここの郷土料理とそれに見合う物をお願いします」
「はい。かしこまりました」
ウエイトレスが去ろうとした時、イアンが呼び止めた。
「あの、すいません。
僕たちは旅の者なんですが、この村にはとても綺麗で豊かな村で驚きました。
きっと素晴らしい領主様が治めてるんですね」
「・・・以前の領主さまでしたらそれは素晴らしい方でしたけど
新しい領主・・・」
ウエイトレスはハッとした顔をして口をふさいだ。
その慌てようを見逃すサラとイアンではなかった。
さらにイアンは、ウエイトレスの顔をまじまじと見つめながら
「ここら辺で商売をしてもよさそうなところはありますか?」
と尋ねた。
「それでしたら、そこの角を曲がった所に、誰でも商いが出来る場所があります。
そちらに行かれたらいかがでしょう」
「ありがとうございます」
優しく、満面の笑みで微笑むイアン。
もし、効果音が出るとしたら ―― ずっきゅーん! ―― と言うような音が聞こえてきそうだ。
ウエイトレスの顔は見る見るうちに赤くなり、目がハートになっていく。
食事も終わり、いったん宿に戻って、商売道具などを積んでいるホロ馬車を引きながら、先ほどウエイトレスに教えて貰った場所に行く。
大勢の人が、そこで商いをしていた。
ある者は地べたに座りながら、またある者は屋台の上でと、売っているものもさまざまで、花、野菜、果物、日用雑貨、どれも手作りの品や家で栽培しているものらしい。
二人は開いている場所を探し、そこに店を構えた。
今日の看板は【 王家ご用達 薬師の店 】だ。
すると、【 王家ご用達 】と言う文字につられ、大勢の人が集まってきた。
その中の半分は、サラとイアンの容姿に目を引かれて吸い寄せられたと言っても過言ではない。
二人は手分けをして病人を診察し、薬を調合して渡していく。
だが、美しい娘のサラとイケメンのイアンはそこに立っているだけで人目を引く。
そんな二人に吸い寄せられてきた者は仮病を使って診てもらおうとしていた。
しかし、
仮病など、サラはもちろんの事、いまのイアンにとっても一目瞭然で分かってしまう。
診察するまでも無い。
ぴしゃりと断って次の人を通す。
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