ハナミズキ 2014-08-20 16:01:01 |
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旅をして諸国を回っている時、サラは異変を感じた。
この異変はサラにしか感じられず、ほかの皆は普段と変わらない。
体にピリピリとくる痺れにも似たような感じが、何とも言い難く不快だ。
目を瞑り、その異変の方角を読み取ると、第3大陸の方から感じられる。
更に神経を集中させ、異変の原因を読み取ると、大陸内で大きな戦争が始まったようだ。
第3大陸では、私利私欲のため殆どの資源を取りつくしてしまい、砂漠化が広がってきていた。
人や動物達の住む所でさえ、その範囲は徐々に狭まり、居住地を争っての小さないさかいが絶えず頻繁に起こっていた。
大陸を預かっている魔王の力が弱まったのか、大陸を収めるに値する魔王がそこには居ないのか、とにかく荒れ果て、廃坑の末路を辿っているようだ。
サラは暫く空を見上げながら何かを考えていた。
そして一つの決断を下したようだ。
「私、ちょっとお出かけしてくるわね」
「出かけるってどこまで・・・?」
「第3大陸まで」
「「はぁ!?」」
素っ頓狂な声を出したのは、ヤンとクリスだった。
それもそのはず。サラ達が今居る所は第1大陸であり、第3大陸に行くには船で三日はかかる。
もちろん魔法を使って飛べば一瞬だったため、この場合一人で行動するか、イアンを同行させるのが妥当なところだろう。
何故なら、クリスとヤンには、海を渡るほどの長距離移動が出来ないからだ。
しかし、サラとイアンが不在となると、残るクリスとヤンの事が心配だ。
したがって、サラ一人で単独行動をするしかないだろうという事になる。
「他の大陸なんて危険です。何をしに行くんですか!?」
「ん~・・これは私の義務なの。だから行かせて頂戴。クリス」
「駄目だな。いくら義務だと言っても女一人じゃ行かせられるわけないだろ」
ヤンも反対をする。
「船で三日というとこか。俺たちも付いてくぜ」
結局4人で船に乗り、第3大陸まで行く事になってしまった。
「うっわぁ~・・・やっぱり海は広いですね・・・。
海以外何も見えませんよ・・・」
大きな感動を胸いっぱいにし、嬉しそうに船の甲板から海を眺めているクリス。
それとは反対に、船酔いでぐでんぐでんになって横たわっているヤン。
「だから付いて来るなって言ったんだよ」
船酔いで青い顔をしてゲロゲロ吐いているヤンを横目に、イアンが呟く。
それに同意するかの様に、サラとクリスも小さく頷いたり溜息をついたりした。
「うるせぇ・・・俺は平気だ」
強がってはいるが、かなり具合が悪そうだ。
仕方がないのでサラがヤンの背中を摩ってやると、癒しの力が働き少し気分が良くなる。
が、また直ぐに船酔い状態になり、第3大陸に着くまで何度もサラに背中を摩ってもらう事になる。
しかしこの事が、ヤンの妄想に火を付けたのは言うまでもなかった。
『サラはやっぱり俺に気があるんだな。じゃなかったら、こんなに心配してくれるわけがない。
しかたがないから恋人にしてやるか・・・』
そんな妄想を抱いていた。幸せな男である。
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