□　Stay by my side .　-　nbl　-　■

（　鋭い視線､怒りを露にした目の前の男｡腕を引き寄せられ刹那ﾊﾞﾗﾝｽを崩すも如何にか持ち堪えて｡双眸見開き反射で再度振り払い後ろに数歩後退り距離を置いて｡初めて､目の前の彼の存在に怯えた｡彼女と同じ泣き黒子､彼女が見せた事の無い不愛想な表情｡「_俺に､触るな｡」俯いた侭呟き浅く呼吸を何とか繰り返す｡"逃がさない"そう告げた相手､確かに言われた､逃げ続けた俺に､逃がさない何て｡__関わりたくない､逃げたい､人の温かさなんて知りたくもない､また同じような事を繰り返すに決まっている｡そう云った意を込めて"触るな"と告げると既に涙も出ていない瞳で相手を見詰め｡必死に脳内で彼女との思い出を振り返る､確か名前は"立夏"｡良い名前だな､そう思った｡__なら､目の前の彼の目的は何だろう｡ただ単純にそう思う｡其れ以外に一体何があるというのか｡「今更死んでも彼奴の所に逝けねェ｡」淡々と言えば髪の毛を掻き乱し如何ともいえない感情を抑え｡自分はきっと地獄､なんて所に逝くのだろう｡逢いたい､抱き締めたい､笑った顔をもう一度見たい｡でも叶う事は無い自分の願いに既に心は枯れきっていて｡冗談とも云えない台詞に無愛想乍自嘲染みた笑みを浮かべて｡目の前の彼が自分を殺しに来る事があれば罪を彼が被る前に自分が海に身を投げるだろう｡そんな事を考えるも一応此れでもﾊﾞｲﾄ中な訳で｡人手が足りているので良いは良いのだが｡切り替える事も出来ない侭相手を見据えては「..客がいるから｡移動するか､夜頃にまた来い｡」相変わらずの無愛想さで告げればどちらか選ばせようと｡彼が自分を見るのは今日が最初で最後であって欲しい｡気持ちを整理しなければ｡自分はもう如何でも良い､彼の重荷を自分が取れるのだろうか｡不安､不安でしか無い｡"今日は"と述べた相手だが自分は"今日しか"話すつもりは無い故｡問われた事は全て応えよう､そう意を決して｡　）