朔夜 2014-07-15 07:37:49 |
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【本音は裏腹 Ⅰ】刀剣乱舞/歌仙兼定
雅じゃない。
その一言がきっかけだった。
加州「主、なーにやってんの…って、何そのかっこ!?」
主「ん?いや…昨日次郎ちゃんに見立てて貰ったんだよ。どう、似合う?着付けも次郎ちゃんにやって貰ったんだー」
加州「主は可愛いから何でも似合うよ。まあ、そんな主の刀である俺は、世界一可愛いんだけどね?」
また始まった。
いいや、放っておこう。
早く見せに行こう、あの人に。
次郎「全く、誰の為にめかし込んでんだろうねぇ?」
太郎「さあ。でも…よく似合っています」
二人が温かく見守ってくれている事なんて露知らず、私は厨へと向かった。
主「かーせん!あれ?ねえ光忠、歌仙知らない?」
燭台切「ん?今日は確か洗濯当番じゃなかったかな?おや、主…着物もよく似合うね」
主「ありがとー、いやもう着慣れなくて大変だけどねぇ」
燭台切「とても綺麗だよ」
主「はは、光忠はお世辞が上手だなぁ。じゃあ、歌仙探しに行ってくるねー!」
燭台切「お世辞じゃ…って、何だ歌仙君に見せる為か…」
外に出てみれば、洗濯を干すのに打ってつけの良い天気。
歌仙がさぞ、喜んでいる事だろう。
なんて思いながら歩いていると、其処にいたのは淡い紫の髪を風に靡かせた私の探していた人。
主「歌仙!」
歌仙「っ!?驚いた。主…大声を出すなんて、雅じゃないねぇ」
やっぱり、着物を着たって私は雅にはなれない?
主「あ…ごめん、なさい…」
歌仙「…?どうかしたのかい?って、これは…」
洗濯物を干しながら話していた彼が、漸く此方に向き直った。
目の前で黙り込む彼に、ざわざわと騒ぐ胸を落ち着かせようと目を閉じた。
歌仙「…え?此処で…かい?」
何を言っているのだろう?
歌仙「……っ」
主「…ん…!?」
不意に唇を押さえられる感覚に驚き、目を開けた。
すると、間近に見える歌仙の顔。
圧迫を覚えた唇は、彼の唇で塞がれていた。
歌仙「主…口付けの途中で目を開けるだなんて、雅じゃないよ」
主「だって…っ…歌仙が…!」
それから喋る間もなく、甘く深く口付けが続いた。
漸く唇が離れ、私は歌仙に抱き締められていた。
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