朔夜 2014-07-15 07:37:49 |
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【夢の華(Ⅱ】観月はじめ/テニスの王子様
君がコートを出て校舎に向かって来る様子がまるでコマ送りの様に見えて、嬉しさで胸が踊る。君が自分の所に来るなんて保証は何処にも無いのに、私に会いに来てくれる…そんな気がして。
観月「○○さん」
二人の時は名前で呼ぶと、そう言ってくれた君。まさか教室で呼ばれるとは思っておらず驚き振り返ると、君が柔らかな笑みを浮かべて立っていた。
主「み、はじめ…君」
*一度は教師の立場上、名字で呼び掛けるも震えた声で僕の名を呼んで下さる貴女。そんなに寂しかったのですか?そんなに苦しかったのですか?
観月「週末に二人で会う約束…覚えていますか?」
主「覚えてない訳無いでしょう?…まさか用事、出来ちゃったのかな?」
君が問い掛けたのは週末、家で二人っきりというデートしか出来ない関係を忘れられる様な事をしたくて私が誘ったのは美術館。後で聞かれた時に言い訳をしやすい場所を選んだ筈だけれど君の問い掛けで一気に不安が押し寄せる、用事ならば仕方ない…そうは思いつつもやっぱり何処か寂しくて。
観月「んふっ、違いますよ。ただ週末迄、○○さんに対しての気持ちを…抑えられなかっただけです」
*貴女の不意に見せる寂しげな顔、何時もの温かい笑顔に僕を見つめる憂いを含んだ情熱的な瞳。貴女に触れたい、話をしたい…そんな感情を抑えきれなくて貴女に会いに来てしまった。
主「…っ…私も、会いたかった。二人で話したかった、寂しくて…はじめ君に近付きたかった」
君が余りにも優しく微笑むから、君はまだ中学生なのに…私は君以上に子供みたいに今までの感情を震える声で言ってしまった。言ってしまった後で後悔が募り口を手で塞ぎ、黙り込んだ。
*今までそんなにも寂しさを隠していたんですか?全く貴女は…やっぱり強くて脆い、本当にか弱くて可愛い方ですね。僕には貴女のそんな言葉を聞いて場所等を考える余裕等持ち合わせていません、何も言わず貴女をこの腕に抱き締めていた。
観月「僕もです、僕も一時も離さず貴女と一緒に居たい。教師と生徒何て関係を忘れて貴女が僕の恋人だと…そう、うち明かしたい程に」
君に抱き締められて私は驚いた、聡明な君が学校でリスクを承知で此処までするなんて…思ってもみなかったから。君の温もりを全身で感じられる様に、目を閉じた。
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