＊炬燵にみかん。/ bml 人数無制限

―まぁ、世の中には色んな嗜好があるってコトだな。(机に頬杖を付き僅かばかり傾いた視界で見る彼の表情はありありと驚愕が浮かぶもので。其れを愉快そうに眺めては上記の様に締め括り。果実の粒を千切り口に放りつつ将来について語る返答に耳を傾けていれば、途方に暮れる様な声色に変わった事に気付いて内心舌打ちし。世間話くらいの気軽なノリで尋ねたつもりが、うっかり地雷を踏んでしまったようだ。食事の手を止めてどうしたものかと思案げに宙を仰ぎ。「好きな仕事に就くのが正解ってワケでもねぇし、将来設計なんざ建設出来なけりゃ意味は無ぇ。そんな不確かなモンに振り回されるより今を楽しむ方が有意義だと思うぜ。……と言う訳で、この美味いみかんを食べろ」そうぶっきらぼうな口調で言い放っては彼の目前へみかんを置き。曲がりなりにも年長者である訳で、気の利いたアドバイスでもしてやろうと口を開くも、途中から自分でも何を言っているのか迷宮入りしてしまい。誤魔化す様に強引な後付けで締めては痒くも無いこめかみを指先で掻き。炬燵の温もりで蕩けそうな思考のなか彼の目尻をなぞる様に触れるも、片目が開かれるのに気付けば手を離し。「睫毛。意外と長ぇなァ」そう欠伸混じりに呟き、緩く笑み浮かべ。)