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…はァ､図書室ですか？


(漸く仕事を為る気に成ったと言うのに｡各教師のタイムテーブルを綿密に作成中､其の肩の凝る様な作業の億劫さを知る由も無い老年教師の､私情を挟んだ頼み事｡図書室へ自身の本を返しに行って欲しいとの事だが､不満は無論何故自分が行かないのか､と言う点に限る｡時計を見やり納得為るは､非常勤講師である其の教師が何時も学校を出る時間｡詰まり数少ないバスに乗り遅れたくは無いが､本日中に返さなければ成らなかった本を忘れていた､とそんな所だろう｡年功序列を重んじる教職の古くからの風潮を恨めしく思い乍立ち上がって)



解りました､返しておきます｡



(愛想は振り撒く事が出来ない為､其の分厚い本を受け取り軽く肯く｡機密事項書類のみデスクの鍵付き引き出しに仕舞うと､職員室を出て｡四階の､県下で有数の広大さを持つ図書室へ歩を進めると─)