ヌシ 2013-07-09 22:28:51 |
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…此れは全て、貴方の愛情なんでしょ?
(逃げるわけない、逃げたら其れは貴方を拒み、否定する事になってしまう。”死んで見せて””死体でも愛せる”そんな彼の言葉を聞いて、私は彼の背中に回していた手を引込め、体を離した。貴方がそう望むのなら…。何時の間にか私は段々可笑しくなってきていた。「…良いよ、私の最後、ちゃんと見届けてね?」そう言葉を発し、彼の体を軽く押して、上体を少しだけ起こした。部屋中を見渡し、目的の物が机の上にあり、手を伸ばす。2つの刃が重なっている其れを、握り締める。正直、怖い。だが、此れで貴方が幸せなら私は其れで良い。伸ばしていた手を引き寄せる。もしも、彼がまだ狂い切っていなければまだ私は助かる可能性はある。そしたらまた楽しい日々を過ごせるかもしれない。そんな数分前に抱いてた希望が私の頭に甦る。―…そして私は握りしめていた鋏をゆっくりと自分の胸へと近づけていった。/
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