高槻 直 2013-03-23 20:43:49 |
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──……瑠夏…。
(ぽつりぽつりと話し出す相手をじっと見つめては静かに耳を傾け。込み上げるものを堪えながら懸命に語る相手の声はか細く酷く申し訳無さそうで。話の内容は予想とほぼ一致していた。──瑠夏が神崎と別れた。俺の為に、俺のせいで。好きで好きで堪らなくて、あれだけ欲しいと焦がれた相手が直ぐ手の届く場所にいる。やっと俺の物に出来る。嬉しくて嬉しくて堪らない筈なのに、辛そうな相手を目の前にまるで容赦なく心臓を鷲掴みされたような圧迫感に、ただ立ち尽くすしか出来ずにいて)
………瑠夏、お前は最低なんかじゃねーよ。ましてやお前は悪くない。俺がこの感情を殺してさえいれば…お前をこんな風に悩ませる事はなかった。お前は俺とも神崎とも真剣に向き合おうとした…しっかり向き合ってくれた。少なくとも俺はお前に傷つけられてなんかねぇよ。お前らの仲をぶち壊したのは俺だ。お前や神崎に辛い思いをさせちまって……申し訳ないとは思ってる…。けど…どうしても俺は抑える事が出来なかった。…ごめんな、瑠夏…。
(──…お前は何も悪くない。頼むからそんな風に自分を責めんなよ…瑠夏。ゆっくりと足を踏み出し相手との距離を詰めれば、真剣な表情で相手をしっかりと見据え、胸の痛みを感じながら今の心境を伝え。「お前の痛みは俺が受け止める。だから……無理、すんな」涙を堪え乾いた笑みを溢す様子を見ていられず、相手の頭を軽く肩に寄せて)
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