高槻 直 2013-03-23 20:43:49 |
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─…っ、それは……
(己の下から途切れ途切れの声が聞こえる。くぐもった声は泣くのを必死に堪えてるようにも感じ、己の服を握る手が震えている事が伝われば罪悪感に胸が軋む。普段なら「だから欲求不満っつったじゃん」なんて冗談を聞き入れてくれるかもしれない。しかし今日はそれで済まされる筈がなくて。己の行動を今更冗談にしても、ここぞとばかりに本心を打ち明けても、どちらにしてももはや今までのようには戻れないだろう。)
っ…、
(こんな時に相手の笑顔が脳裏を過る。へらりとした相手の笑顔が好きで。己に笑い掛けてくる相手が堪らなく好きで。もう見る事は無いかもしれないと思うと切なさに胸が張り裂けそうになる。それでもこうして深く傷付けてしまった以上、伝えなければいけない。相手が求めている、その理由を。相手を抱く腕をそっと緩め、ゆっくり髪を撫でながら相手を見つめれば愛しさが止めどなく溢れ、感情の高ぶりからか自分でも気付かない内ぽたりと一滴の涙が落ちていく)
──…お前が好きだからだよ。好きで好きで、仕方ねぇから…
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