彪奈 2013-01-27 22:58:28 |
|
通報 |
小さな頃にスペインにキスしたことがあった。スペインは「何すんねん」ってくすぐったそうに笑ってた。
だから、大きくなってキスしても平気だと思った。
「何すんねん」
でも、違った。怒ってた。き、と睨みつけて静かに威圧的な声で言った。
予想と違って驚いた俺は一気に恥ずかしくなって泣きたくなってその場から離れた。後ろから
「ロマ、どこ行くん!?」
て言ってたけど無視してやった。
小さい時からスペインが好きだった。敬愛とかじゃなくて純粋に恋心だった。ベッラが何よりも好きだった俺は正直、男相手に恋していることを初めは否定していた。が、否定するだけ無駄だった。恋しているのは仕方がないのだ。結局受け入れた。独立するときもすごく寂しかった。独立したあとも好きで好きでよく会いに行くようにした。気持ちは変わらないまま。
思い切って言ってみた。
「好きだぞ、このやろー」
鈍感トマトスペインはただふは、と笑って
「俺もやで」
と言った。違う、そういう意味じゃない。何を言うも無駄だと思ってもうそれ以上は言わなかった。
「なんで唇尖らせてるん?」てスペインのやろーが訊いてきたけど「カッツオ!」て言ってやった。
それから暫くは気持ちは落ち着いてた。でも、スペインと飲みに行ってベロンベロンに酔った勢いでキスしちまった。
スペインの「何すんねん」て声でハッと戻り冷静になったら逃げ出してた。あー、何やってんだろうな、馬鹿みてぇ俺。
正直な話、スペインも俺のこと好きだと思ってた。今思うとどんな思い込みだよ、と思う。
現実はこれもまた違ってた。スペインが俺に抱いていた気持ちはただの親愛。親分子分としてしか俺のこと見てたなかった。本当泣ける。
大の大人-つっても国だけど。-がぼろぼろと涙流してた。家に着くまでの街中でも気にせず泣いていた。思いっきり泣きたかった。泣いて泣いてスペインへの気持ちとともにスッキリしたかった。
んで、泣き終わったら謝りに行こう。言い訳なんて言おう。そうだ、酔っててベッラと間違えた、とでも言っておこう。
(そんな嘘すぐにバレてしまうと気づいていたのに。馬鹿みてぇ。でも馬鹿みてぇにスペインを愛しているんだ。)
| トピック検索 |