アヤノ 2012-12-28 19:05:34 |
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っ、( 離された身体同士の隙間をすり抜ける冬の風が相手の体温によって仄かな熱を持っていた身体の前面を冷やしていく。其れは何だか己から相手が居なくなるような錯覚を覚えてしまいそうになり、相手の体温を運ぶ掴める筈もない風が空に馴染む処をぼんやりと眺めていれば。段々と近づいているような相手の顔に視線を下ろし、そして固まる。ふに、と触れる何かに思考も停止する。相手が突如として取った行為が先程己が取った行為とほとんど同じであると分かった時には相手の唇は己の唇の横から離れていて。だけど柔らかい感覚の残る箇所に思いを馳せれば次の瞬間、ぼわんっと効果音が付きそうな勢いで赤面する。マジかよ、とでも言いたげに半開きになった口をパクパクと動かせば触れられた箇所にそっと指を添えて目を忙しく泳がせながら「 え、何..。此れ は、そういう許可が下りたって事で、..いい、のか。」今迄笑うたびに上がる其れとか、涙で濡れた其れとか。己の胸を射止める仕草の度にそういう衝動に駆られることは無かったとは言えないが、己の性格上勿論行動に移すには其れなりの段取りが必要になる。其れに加え最近では晴れて相手と結ばれ、相手の嫌がる行為はしたくないと重々自重してきた。もう泣かせまいと抑えていた行為、言わば相手の唇に口付けを施す事を、相手は積極的にも自分からしてきてくれた。髪に口づけを落としたやり返しとしても己的にはただの振りにしか思えずぽつりぽつり言葉を紡げばちらり、弱々しい瞳で見遣り。)
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