メカクシ

メカクシ

ヒビヤ  2012-08-22 00:19:39 
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まぁ・・・暇だったら・・・読んでよ・・・

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  • No.8 by ヒビヤ  2012-08-22 02:09:39 

巻き込まれたカノから抗議の声が上がる。
「な、何するのさ……キドぉ……」
「後ろにいたお前が悪いんだろ?! 全くふざけやがって……。
どこに行ったかと想ったぞ! 『敵』の後ろで爆風やり過ごすとか、お前はアホか! アホなのか!」
「引きずり出してくれぇ……」
 カノとくだらない漫才を繰り広げていると、色を喪ったエネの声が聞こえてきた。
「皆さん……」
 彼女が入っているスマートフォンを覗き込まなくても、
彼女の顔が青ざめているのが見えるようだった。
「ヘッドノックの意識が消失した瞬間、『時限爆弾』が始動しました。
……まさか、この展開すらも『想定内』だったって言うの!」
「落ち着けエネ……! それで後何分なんだ?!」
「3分です」
 俺は空気が凍ったような気がした。3分? え……? 3分だって……?!
「そんな馬鹿な……ここは『研究施設の最奥』なんだぞ!? 
行きだって用心深くは来たが『30分』は掛かった……! そんな、そんな時間じゃ……」
 俺の心を、諦念が包む。同時に『メカクシ団』の心の内にも、
徐々に黒い物が沸き上がってくるのが、『オーダー』を通して感じられた。

 ――しかし。そんな中で。

 ただ2人の『少年と少女』だけが、けして『絶望』していなかった。
彼らの名前は『ヒビヤ』。そして『ヒヨリ』。
『白衣の科学者』の『悪魔的な第二実験』の『被験者』だ。

「キドさん。俺達、皆には本当に感謝してます。
皆が来てくれたから、俺達はあの『死ぬばっかの世界』から脱出できた」
「そして、コノハ。あなたがいたからこそ、私達はあの『絶望的なループ』から脱出する事ができた」
「皆にも、コノハにも、本当に感謝してる……」
「そんな最期のお礼なんてものは……」
「キドさん。話を聞いて下さい。
俺達は、『陽炎』に作られた『ループ』の『周回20000回目』である能力に目覚めたんです。
それは『死の運命』を確定する『陽炎』には全く役に立たない能力だったけど……」
「今、分かったんです。きっと、この時の為に、『私達』は『能力』を得たんだって」

 『ヒビヤ』と『ヒヨリ』は祈るように指と指を絡め合い、静かに目を閉じる。
それは、彼らの報われない『ループ』から『一瞬でも逃れたい』という心の結晶。
『悲劇的な世界』での『安息』を、『一秒でも長くしたい』という心からの祈り。
 『陽炎』を覆すには至らなかったその『能力』が、今、『奇跡』の『象徴』として、
その『効力』(チカラ)を発動させる――。

「「クロック!」」

 重なり合う二人の声が響いて、音が消えた。

 ――時が止まった世界の中で、『メカクシ団メンバー』だけが動作していた。

 『クロック』は時を停めるという最高峰の能力である。
『陽炎』による『無限の死』という報われない『運命』を担わされた彼らだったからこそ手に入れた
それは『規格外の能力』だった。
 『クロック』は本来、『ヒビヤとヒヨリ』のみを効力圏内とするが、今メカクシ団の『意識』は、
キドの『オーダー』を通じて、繋がっている状態にある。
『能力』が『バイパス』され、『メカクシ団全員』にその『効力』が『適用』された。

「凄いじゃないか……ヒビヤ、ヒヨリ……これで『外』に至る事が……」
「すいません! これでも届かないんです! 足りないんです!」
 ヒビヤの悲痛な叫びが、俺の言葉を遮る。
「何だって……?!」
「私達の『クロック』は二人で一緒に発動する事によって、『継続時間』を伸ばせる。
だけど、『10分』が限界なんです……!」
 またも目の前が暗くなりそうになるが、しかし、それならばまた『手』はある。
 いつの間にやら、『彼』は『ヒビヤとヒヨリ』に寄り添うようにして立って、
薄く涙を浮かべている。

「僕には、想像する事しか出来ない……。
でも、そんな『凄い力』を手に入れる為に、
君達は何度も何度もループを乗り越えて……『陽炎』と戦ってきたんだね。

 君たちは本当に……頑張ってきたんだね……」

 ジャンがその『純朴な祈り』が込められた手のひらを、
『ヒビヤとヒヨリ』の合わせられた手の上に重ねる。

 ジャンの『アシスト』が発動し、『クロック』の効力時間を更に引き延ばす――!

「エネ! 計測してくれ! これで何分『クロック』は継続する……?!」
「――! ――――! 計測完了! 19分弱はいけます!」
「20分あれば楽勝だ! これから『メカクシ団』は『脱出ミッション』をスタートする!」
 皆が一斉に勢い良く頷くのが見えた。
「で、でも! 本当に間に合うんですか?! かなり際どいですよ……!?」
「心配するな、エネ。
 俺達を誰だと想っている……? 『社会的弱者互助集団メカクシ団』の面々だぞ?! 
『戦う』事には正直不慣れでも、『逃げ足の速さ』なら誰にも負ける気がしない!!」
 俺は決め台詞にもならない言葉を吐いた。誰かが笑っている。『危機的状況』なのに、
全然心が重くない。これなら楽勝で俺達は『脱出』出来るだろう。そんな予感があった。


――こうして、『メカクシ団』VS『白衣の科学者ヘッドノック』の抗争は、俺達の勝利で幕を閉じた。

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