メカクシ

メカクシ

ヒビヤ  2012-08-22 00:19:39 
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まぁ・・・暇だったら・・・読んでよ・・・

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  • No.1 by ヒビヤ  2012-08-22 00:28:15 

■『メカクシ団集結/最悪の誤算』

 作戦から16年前、まだ『メカクシ団』が前身の『聖マリア孤児院』だった頃、
そこには院長であり、
『白衣の科学者』であったルリと、引き取られた二人の孤児――キドとカノしかいなかった。

 作戦から8年前、焼け落ちた山村から『ジャン』という黒髪の少年が救出された。
この頃には『白衣の科学者へのカウンター』としての『互助集団』、
『メカクシ団』が実際に始動し始め、ジャンの事は『メカクシ団団長』になったキドが救出した。

 作戦から6年前、黒髪の少年、ジャンの初任務として、長い間、
森にある家に引きこもっているという『少女』を『保護』する為に彼を派遣。
森にいたのは何と『メドゥーサの末裔』であった。
マリーという少女はこの時、『メカクシ団』に『仮入団』した。

 作戦から2年前、『ある少女の死』から『人の笑顔の裏側に隠された悲哀』を知る青年、
トガが、『誰かを救う事を手伝いたい』と、『メカクシ団』の門戸を自ら叩いた。

 作戦から2週間前、『メカクシ団の最大任務=メカクシコード』を目前とし、
『仮入団』していたマリーを、キドとジャンの二人で迎えに行った。
笑顔で出迎えてくれたマリーには申し訳ないが彼女の『石化』の力はきっと、
『メカクシ団』の『欠かせない戦力』となる事だろう。

 そして作戦から一日前の8月14日の11:45――。

 『聖マリア孤児院』を改造した『メカクシ団本部』にて、
『メカクシ団』の『発起人』であり『ブレイン』――ルリが嘔吐を必死に堪えながら、
頬を涙で濡らしている。
 隣では悔しさに唇を噛み締め、小刻みに震えている『メカクシ団団長』キドが立っていた。
「何てことなの――」
 何度目になるか分からない、そんな言葉をルリは口にした。情報の入手は完璧だった筈だ。
実際の『実験都市』の管理情報からしても自明――
――『終末実験』は『8月15日』に行われる――『筈』――だった。
 もう充分に分かっていた筈なのに――
それでもルリは何処かで『白衣の科学者』の首領『ヘッドノック』の事を甘く見ていたかもしれない、と感じた。
 『ヘッドノック』の発想には『最低』に『最悪』の想像を更に重ねて、
『想定』しなければいけなかった。
彼は『想像を絶する悪意』により、『人の正しい計算』を覆す。
 ルリは失敗した――。

 ――結論から言えば。

 『終末実験』は一日早められ、『8月14日』に発動した。

 全ての『準備』を『8月15日』に向けて行なってきた『ルリ』及び『メカクシ団』は、
今現在行われている最中の『終末実験』に何も手出しする事が出来ない――。

 勿論、血気盛んな若者たちは、今すぐにでも『終末実験』に割って入る事を主張した。
しかしそれは『無理』なのだ。
 まず、第一に物理的な距離の問題がある。ルリが『終末実験が一日早められた』事に気付いたのは、12:20、『一部地域でのみ被せられた、ニュース及びラジオの中継』の解析からなのだ。
 事実を完全に理解出来た時には、12:30を過ぎており、
『実験都市』へは一時間以上の道程が掛かってしまう。
 第二に、『実験都市』には『多重な電子的セキュリティ』と
『正門を固める、人造人間達の兵隊』達が存在する。
正門からは強行突破出来るが、まず『少数精鋭』である『メカクシ団』は勝ち目がない。
 残された方法は、『白衣の科学者』の『研究施設』及び『研究棟』の付近の『裏門』から
『ハッキング』を仕掛けて侵入する方法である。
 ルリは全精力を掛けて、『8月15日 11:00』のみこの『電子的障壁』を破る事に成功した。これで『メカクシ団』は『白衣の科学者達』に最も有効な強襲作戦を仕掛ける事が出来る――。

 ――その筈だったのに。

 ルリは半狂乱になり、泣き崩れていた。キドは流石に見かねて、
「ルリ、あんたのせいじゃない。俺たち全員が『読み切れなかった』んだ」
「でも……でも、1000人の『人造人間』たちが……」
「ああ。はっきり認めるしかない。俺たちは『失敗』した。『人造人間』達を見殺しにしたんだ」
「……う、あああ……」
 冷徹とも取れるキドの言葉に、ルリはボロボロと大粒の涙を零す。
「ほら。今12:00だ。『白衣の科学者』はクソッタレな笑いを漏らしているかもしれない。
『人造人間』の殆どは今この瞬間、死んでいっているだろう。
 だけどルリ。お前は俺たちの『ブレイン』だ。いつまでもそんな顔をしているのは――
『メカクシ団』全員の、ここに集ってくれた『皆』の期待を裏切る事にもなるんだぞ」
「……う、うん……」
「俺たちには、まだ出来る事がある。
 ――明日だ。
 明日なら、俺達は『実験都市』に潜入出来る。
そこで出来る限り、『生き残った人造人間』を救出する。
 そして、ある意味、『終末実験最大の被害者』とも言える『成功個体』を、俺達で、盗み出すんだ」
「そんな事が出来るの……?」
「やるんだよ、ルリ! これ以上失望させるんじゃない! 
 お前が俺を拾ってくれたから、今の俺がここにいる!
 俺達がやらなきゃ誰がやるんだ?! お前みたいに泣いてないからって、
 俺が、俺達が平静を保っていると、本当にそう想っているのか!?」

「そうだね。――――ごめん」

 瞬間、空気が冷えるような感触と共に、『気弱で慈愛に満ちた女性』ルリは
『冷静な思考により完成された元白衣の科学者』としての仮面を被る。

 彼女はキドに『伝令』を頼み、すぐさまメカクシ団の精鋭30人弱を中央の広場に集める。

「私達は、『失敗』した。悲嘆に暮れ、
為す術もなく時を過ごすのは、だけど私達の『今やる事』じゃない。

 予定通り――明日。『メカクシコード』を発動する。

 『白衣の科学者』の『横暴』をこれ以上許す訳にはいかない。
『メカクシ団』は『白衣の科学者』の『目を隠して』――『成功個体』を奪取する! 
加えて『生存者』の救出を行う!」

 『終末実験』に関する『最悪の誤算』に打ち沈んでいた『メカクシ団』団員達の目に、
再び光が戻る。彼らは各々想い想いの叫び声によりルリの言葉に答えながら、
新しく『配信』される『キドの命令』通りの準備を始めた。

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