miru 2012-08-13 02:13:02 |
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「……おいセータ。何してんだよ?」
俺はドアに向かって話しかけた。
「勉強。入って来いよ。」
ドアの向こうから、セータの声がした。
セータに返事するかわりに、ドアを開けた。
部屋の中には、机にかじりつくようにして座っているセータ。
「また勉強か?」
俺は半ば呆れながら言った。
「まあね。クラスの平均点を上げてるのは僕だから。」
セータは得意そうだった。
「下げてんのは俺だけどな。」
俺は苦笑しながら言った。
セータが突然振り向いて、俺の顔をじっと見た。
「……何だよ?」
俺は不機嫌そうに言ったけど、内心嫌ではなかった。
セータの事は嫌いじゃないからだ。
小さい頃から付き合いがあって、寧ろ好きかもしれない。
……気持ち悪い意味ではなく。
「ハルキ。」
セータが俺の名前を呼んだ。
「だから何だよセータ。」
「セータじゃない。清太だ。」
「俺もユウキだけどハルキじゃない。悠貴だ。」
「悠はハルカとも読むじゃん。」
「どうでもいい。」
俺は食い気味に言った。
早く本題に戻りたかった。
「何急いでるんだよ。」
鋭いセータは、俺が急いでいる事に気付いたらしい。
「何で俺の顔ガン見してるんだよ。」
「いやイケメンだなと思って。」
「嘘だろ秀才美少年。」
「割とマジだよイケメン君。」
「……何だこの気持ち悪いやりとり。」
セータと同時に吹き出して、それから暫く大笑いした。
……この時俺たちはまだ知らなかった。
この会話を、聞いてる奴が居たことを。
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