ゼロ 2012-08-12 16:50:55 |
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[第七話]ラケル・クラウディウス
「ブラッド候補生の皆さんに連絡です、ラケル博士からの招集がかかりました、ブラッド候補生の皆さんはすぐにeエレベーターを使って高層フロアに行き、ラケル博士のもとへ向かってください」
俺とナナで話していた頃、フランさんの声のアナウンスが流れた。
「あー、私たちだねー、それじゃあ行こうかー」
「そうだな」
ナナと一緒にエレベーターに乗ると、ロミオ先輩もエレベーターに乗ってきた。
「あれ?ロミオ先輩も『候補生』なの?」
「うるさいぞナナ…!」
ロミオ先輩が顔を赤くして俯く、図星か。
エレベーターが高層フロアに着くと、扉が開いた。高層フロアというだけあって高い。そこからは女神をかたどった巨大なステンドガラスが見えた。しばらくそれを眺めていると後ろからナナが声をかけてきて、ラケル博士の部屋へ入った
「よく来ましたね、ブラッド候補生の皆さん。本来なら、正式な晩餐会を催したいところなんですが…」
「晩餐会!?」
ナナが勢いよく反応した。
「残念ながらいろいろな事情が重なってしまい、それは無理となってしまいました。」
「そんな~…」
先ほどの顔から一転、一気に顔が落ち込んだ。ぶっちゃけラケル博士を初めて見た。金髪で顔が綺麗な少女。車椅子に座っているあたり、なにか障害を持っているのだろうか。
「それよりも皆、仲良くなって嬉しいわ…それでね、今日はみなさんにブラッドとしての心得をお伝えしてきたくて」
「よ、よろしくお願いします!」
ロミオ先輩がいきなり改まった。
「ご存知の通り、アラガミによって世界は滅びの道を進んでいます。それを押し止めてきたのは、神を喰らう者『ゴッドイーター』そして今、ゴッドイーターを超える『ブラッド』が新たな時代を切り拓こうとしています。」
「そっ、そうなんだよな!ジュリウスや俺たちが『血の力』で…!」
「ブラッドに選ばれたものの中には、『血の力』が眠っています。『血の力』は、意志の力…『血の目覚め』迎えたブラッドはその強い感応の力であまねくゴッドイーター達を高め、導く…ロミオ、ナナ、そしてナギサとジュリウス…皆さんは、ブラッドとして、ゴッドイーターの先頭に立ち、彼らを教導する存在なのです」
俺たち三人は静かにラケル博士の話を聞いていた。何だか思っていたより大きな話になっているような気がして…
「今はまだ眠れる種ですが、強い願いが強い意志の力を生み、やがて『血の力』を目覚めさせるでしょう、その日を楽しみにしていますよ…」
ラケル博士はクスリと笑った。
「ラケル博士…!俺、頑張ります!」
「応援してるよ!ロミオ先輩!」
「バ、バカ!お前もなんだよナナ!他人事じゃないんだぞ!」
「はは…」
そんな二人を眺めながら俺は苦笑した。そしてラケル博士の部屋を跡にした。
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