ゼロ 2012-08-12 16:50:55 |
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Heart Carrier
第零話 『▽♪※☆▲♯¥♪』
そこは宮殿の一室。ドーム状の部屋の中央には祭壇があった。
祭壇の真上は開閉可動する天井が開かれていて、青空が見える。
その部屋に、三人の傷ついた男と一人の少女がいた。
「(わかるだろう『★ψ£ё』…この星が奴等の手に堕ちるまで長くはない、お前は脱出するんだ!)」
★ψ£ёと呼んだ少女の両腕を掴み、無理矢理祭壇へ連れて行こうとする男達。
「(そんな事ない!力を合わせて戦えばあんな卑怯者どもなんか…!)」
少女は反論し、必死に抵抗する。
「(もう今ある戦力だけでは無理なんだよ)」
「(嫌だ!皆を置いて僕だけ逃げるなんて絶対に嫌だ!)」
「(逃げるんじゃあないッ!!これは『使命』だッ!!)」
一人が大声を少女に浴びせた。
「(いいか、他の星で仲間を集めて『ξ♪@※』を
、俺達の故郷を取り戻す…それがお前の使命だ!
優れた『▽♪※☆▲♯¥♪』であるお前にしか任せられない
お前は俺達の希望なんだ、わかってくれ)」
それを聞いた少女はうつむいて大人しくなった。
途中までは引きずられていったが、最後は自ら歩き出す。
祭壇に辿り着いた少女にカバンが渡された。
「(予備の戦闘服一着と数日分の食料だ
これしか用意できなかった、すまない…)」
「(……ううん、ありがとう)」
涙をぬぐいながら答える少女。
儀式が行われ、祭壇の上に小さな光の塊が召喚された。
「(……それじゃあ皆、行ってきます)」
「(その前にひとつやる事がある)」
一人が手に持った槍の光の刃で少女の胸を貫いた。
「(ぐうっ…!?な…にを…!?)」
他の男達もその槍の柄に手を置く。
「(お前の心の一部を上書きするのさ)」
男達は流星が飛びさっていくのを見送った。
「(★ψ£ёはいつか本当の事を思い出してしまうかもしれない
この星に戻ってきてしまうかもしれない…
だが、しばらくは平和な時を過ごせるはずだ)」
「(しかし皮肉なものだな、あいつを送り出した理由は、書き換えた内容も結局戦いのままだ)」
「(仕方がない。三人の力でも、自在に心を操れる訳ではないのだから)」
「(さて、俺達の妹分の幸運を、我等がξ♪@※の神に祈ろう)」
男達は手を組み、祈りを捧げた。
そんななか、宮殿に大きな揺れが伝わる。
「(奴等め、もうここまで来たか)」
「(ならば俺達はまた戦うだけだ)」
「(ああ、我々は▽♪※☆▲♯¥♪…
最後の一人になろうとも、命尽きるまで心清く気高く、な)」
第零話 『▽♪※☆▲♯¥♪』 終
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