匿名だったもの 2012-05-22 12:22:14 |
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最寄りのスーパーで姉所望の品々と、多少の菓子類、雑誌を購入した。
片手で袋を持って帰り道を歩いていると、後ろから
「だーれだっ」
といきなり目隠しをされた。しかも、手ではない。矢鱈と臭い布切れだ。
(俺が女だったら、確実にコイツは訴えられるんだろうな)
そんな事を考えながら、目を覆っている何かを振り払う。
こんなことをする知り合いは一人しかいない。
「何がしたいんだよ」
案の定、同じクラスの阪上がそこに立っていた。
「おまっ……付き合い悪いな!もっとこう……リアクションしてくれよ!ケーブ!」
ケーブというのは、俺の名字刑部を音読みしただけの他愛もないあだ名で、俺はこれが嫌いだった。
俺は溜め息をつくと、阪上の持っている物を見て、愕然とした。
しかし、努めて冷静に、ビニール袋から雑誌を取り出し、丸める。それを、阪上の脳天目掛けて無言で振り下ろした。
阪上は布切れでガードした。ちっ、運動神経のいいやつめ。
「ケーブ!?何すんだよいきなり!」
阪上の言葉に俺は逆上した。
「靴下は無いだろ!」
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