匿名だったもの 2012-05-22 12:22:14 |
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その世界は余りにも広大で、矮小な俺はすぐに呑み込まれてしまった。
きっかけは些細な事だった。
「カレー作るのにカレールー無いから買ってきて」
そんな致命的かつ、理不尽な姉の言葉にしぶしぶとリビングのソファから腰をあげる俺。
カレー作る気自体がそもそもあったのかが、疑問だ。
ゆっくりと玄関で靴を履いていると更なる声が。
「あ、そうそう。ついでにジャガイモと人参と玉ねぎと肉ね」
あほかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
ねぇ、どゆこと?それって一切カレー作る気なかったよね?ついでのレベルじゃないよね?何なの?何がしたいの?ホントにカレー作る気あったの?
という心の叫びを一切合切飲み込んで。
「わかった」
そう簡潔に答え、玄関を出る。
……まったく、上下関係というものは恐ろしい。
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