マキナマズル 2012-04-02 20:31:12 |
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_chapter:00′ Ver. COLD Edge
〖 In the castle, 〗
城内にて
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密偵はたたずむ。すぐそこに兵士の息が掛かるほどに
「見失った.......」
群れるだけの能無しの輩は 壁画の女には目もくれず、
ただ重いだけの鎧をガラガラ言わせ、去って行く。軽い。
されどきっと上に知らせるのだろう。
潮時だ。それにしても厄介な事になった。今回は。
【役無しども】
いつもなら、渋面の騎士や兵士らが巡回をして居る
だけなのだが、此方側の意図に気付いてかいまいか、
城側は役が降りたばかりの若い騎士を派遣した。
先日その素顔を拝見した時は 子供そのままだった。
寝ていた。開いたままの窓から掛かる灯りを浴びて、
ひだまりの様な、青白さだった。
〖役持ち〗
何故その年で 蒼騎士 になれたのか、訳を考えて置く
べきだった。良いデーターが取れたものの、やはりこの
様な失態は避けるべきだった。
.......油断して居た。
不意に首に掛かる細い腕。男のくせに貧弱だと私は思う。
それにしてもいけない。空想にふけ込んで居た。
「君がそう、なの.......?」
ふん。密偵を取り調べるのなら、もっと硬派な態度で臨む
べきだ。ゼフィロ様を見習うが良い。
されど。彼は問う。
私の事を。
フェイリスの事を。
「君が、あの冷徹、な
アイリス=メイリーン、なの?」
.......騎士失格だ。
その様に潤んだ眼でフェイリスを見ないで欲しい。
フェイリスは、
姫様の片翼なのだ。あの方は強情なだけなのだ。
確かな片割れなのだ。
だから、おネエさまの名を借りるのも、今に始まった
案件では無いのだ。
モノクル
片眼鏡の位置を正し、私は云う。
ワタクシ
『いかにも。私が
アイリス=メイリーン、なのですの。』
王宮の闇。隠し子。
___________________
始まる
その悼みから、逃れようと必死でしたの。
.......
あの頃は。
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