ナルガEX 2012-03-27 18:10:33 |
|
通報 |
「……という依頼が“向こう側”から来ている。引き受けてくれるか?」
「該当人物の調査・監察、必要であれば協働という形で行うわけですね。大事にならないことを祈りたいですけれど」
冷厳で凄烈たる波動に満ちた謎の空間で、威厳に満ちた声と澄んだような女性らしき声が辺りに響いている。何か打ち合わせのような会話をしているようだが、詳細な部分は伺い知ることができない。
「すまぬ、また苦労をかけることになるな」
「それはもう言いっこなしですよ。ふふっ、この掛け合い、もう何度目ですか?」
威厳に満ちた声の方が、声色に憂いを帯びて、申し訳なさそうな様子で語る。すると、女性らしき声の方は逆に明るめの口調で、遠回しに聞き飽きた、と取れなくもない言葉で返している。まさに何を今更、といった様子だ。
「それでは、行って参ります。我が主、ソルニーグよ」
「久しぶりにその呼び方を聞いたが、今聞くとむず痒いな」
「でしょう? では改めて、行ってきますね」
見送り、見送られる者たちの会話が紡がれると、それきり声は途絶えるのだった。
| トピック検索 |