小桃はそう言ったのに言葉を発しない。ただ山の合間に陽が沈んでいくのをじっと見ている。 急激に辺りは暗くなってゆく。 僕は不安を感じ始める。 何も言わずに小桃の言葉を待っていたが、陽は完全に沈んだのに小桃はまだ山の方を見ている。 「帰ろう。モモちゃん。」 小桃の答えを聞いてはいなかったが、僕は小桃そう促す。