青葉 2012-01-06 22:03:27 |
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青葉:他に選択肢はないもんね。
木山:そうだな。
それを聞いて貘は、
直ちにこの国を出て行くのが良いでやしょう。あんた早く狩りをしないと命が持たない程に衰弱しているとみやした。まあ、だからこそ出られたんでやしょうが。
とにかく、直ぐに出発することでやす。
と、ナイトメアに早急に立ち去ることを促した。
ナイトメアは、
言われなくたって、解ってるわよ。でも、あと一、二週間は保つわ。長く閉じ籠っていたんだから、少しくらい落ち着いて外の空気を吸ってからでいいでしょう?そんなに急かさないでよ。
口を尖らせて、そう言った。
青葉:ナイトメアも外の空気を吸いたいもんなんだ。
木山:そこも、人間が創ったから人間らしさがあるんだろうな。
貘は、
そならば何も言いやせん。あたしは、この坊っちゃんを連れて、もう行きやす。坊っちゃんのお母さんは心配していやすし、家で待ってるお嬢さんも、まだ会ったことのない孫に早く会いたいでやしょうから。
と言って俺の横に並び立ち、俺と手を繋いだ。話を終わらせて去る、という姿勢をナイトメアに見せた。
ナイトメアはそれを悟り、
あたしは敗者。敗者は命を取られるか、そうでなければ従属するか去るしかないもの。直ぐにこの国を出るわ。
さよなら。もう二度と会うことはなあでしょうね。
と、別れの言葉を言った。
貘は、
差しでの戦いでやしたら確実にあたしの敗けでやした。
道中、お気をつけて。
と返すと、俺の手を握りながらナイトメアに背を向け、伯母の家の方に歩き出した。突然にナイトメアとの別れがきた。
貘に手を引かれながら歩き出した俺は、ナイトメアを最後に一目みようと振り向いたが、姿はどこにもなかった。それは忽然と消えたという表現が一番しっくりくる程に見事な去りかたで、まるで最初からそこに居なかったかのように思えた。それは、貘が音もなく突然に現れたことと類似することに俺には思えた。
貘は、
もう、姿を見ることは出来やしやせんよ。振り向いても無意味でやす。
と言った。
青葉:差しの勝負なら確実に敗けていた、と貘は言ったんだ。でも、いい勝負をしていたんだよね?確実にではないじゃない?貘は、去り行くナイトメアへの手向けの言葉を言ったつもりだったのかな。
木山:いや、心から思ったことを言ったんだと思う。差しでの勝負ならば貘は敗けていたんだ。
青葉:貘には後続の二番手三番手、それ以降も控えていたけど、君のおばあさんの中では一対一で戦ったんでしょう?差しの勝負だよ。
木山:そうだな。でも貘は後続の貘達を含めての個対団体という意味で言ったんじゃないんだ。
青葉:どういうこと。
木山:この奇妙な戦いは、貘の言う通り差しの勝負ではなかったんだ。貘には援軍がいたのさ。いや、ナイトメアの方にに足手まといがいたというべきかな。
青葉:さらに解らなくなった。
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