青葉 2012-01-06 22:03:27 |
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青葉:太った?しかも丸々と。
あばら骨が見えるくらいに男は痩せてたんじゃなかった?
木山:俺が見た時は、とんでもなく太っていた。理由は食い過ぎだよ。
青葉:その男だって、地下の扉の向こうに20年以上いたんでしょう。食べる物なんてあるの?
木山:あったんだ。けど、それが何かはこれも後だ。
俺は、男を見て悲鳴をあげた。
男をナイトメアだと思ったんだ。
その時はまだナイトメアの狩りを邪魔した男のことは聞いてなかったからな。
5人の命を奪ったナイトメアが目の前にいる。殺される!
そう思った。
伯母からナイトメアの話を聞いていたが、その時は半信半疑よりも信じてなかった。でも、今までに見たことないような大男が南京錠の掛かっていた地下の扉から現れたのを目の当たりにして、一気に伯母の胡散臭い話を信じることができた。それで恐怖心が掻き立てられたんだな。
結局、男はナイトメアではなかったけど、伯母の話が真実と感じたのは、こと時だった。
男が、
良かった。開けてもらえやした。誰もいなかったら……
そこまで言った時に俺は悲鳴あげた。それを聞いて伯母は、
哲くん、向こうへ行っていなさい!
そう大きめの声で言った。
俺はその言葉に弾かれるように逃げ出した。
玄関で急ぎ靴を履き庭に出で、犬を連れ出して山の中に入った。
青葉:伯母さんは、外に出ろと言った訳ではないんじゃない?
木山:そうだろうな。でも、勘違いだったものの、ナイトメアという恐ろしい魔物に会ったんだ。命の危険を感じてパニック状態だった。
青葉:そっか。パニックに陥っていたんだもんね。
木山:メチャクチャに走る俺の後を犬は軽々と着いてきた。
どこをどう走ったのか、走り疲れて立ち止まると、そこは行ったことのない木々がうっそうと生える、陽の光の少ない獣道すらない山の中だった。
そばに小さな岩があり、俺はそこに座って息を整えることにした。
しばらく座っていたが、犬は元気で、俺の周りをぐるぐる小走りしていた。
青葉:犬は元気だね。
木山:その犬が突然に止まり、ある方向に向けて激しく吠えた。
俺は即座にそっちを見た。男が追いかけて来たのかと思ったんだ。
だが、違った。
視線の先には、青い目の女性がいた。
青葉:青い目?白人?
木山:そう。白人で、透けるような白い肌の色をしていた。青い目で、髪は金色というより銀色の若い女性だった。真っ白な服を着ていたが酷く汚れていた。 綺麗な顔立ちだったと今は思うけど、その時はそういうことにはあまり興味がなかったな。
そいつは、無表情で俺の方に近づいてきた。
青葉:ナイトメアだね。
木山:ああ。
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