青葉 2012-01-06 22:03:27 |
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青葉:結局は山の中に入ったの?
木山:入った。でも驚いて、恐くて、家を飛び出してのことだったんだ。伯母の言いつけを敢えて破ろうとした訳ではなくな。
青葉:どうしてそんな事態に?
木山:ナイトメアの狩りを邪魔した男に家の中で会ったんだ。俺は男が怖くて逃げた。
青葉:へえ。ナイトメアに会うより先に、男に遭遇したんだね。
木山:そう……。丁度これからその時の話をしようとしてた。
土砂崩れで山から降りられなくなったものの、母は帰り支度を一応始めていた。道路が通れるようになったら直ぐに帰るつもりだったんだろうな。
俺は、大人しく家で一人遊んでいた。と言っても特にやることはなかった。
お昼ご飯を食べた後、庭で犬と遊んで、家の中でゴロゴロするくらいしかなかった。
で、ゴロゴロしている時に、家の奥の方から物音が聞こえてきた。 ドンドン、と何かを叩くような感じの。
俺は音がする方へ行ってみた。
青葉:音は、地下の扉の方からだね。
木山:そう、音は地下の扉の方からだった。伯母からは、地下の扉に近づくな、と言われていたが、音に釣られた。
地下の扉のに近づくにつれ、ドンドンという叩く音の他に人の声が混じってることに気づいた。そして、階段の前に立つと、扉の向こうから
男の低い声で、
「誰かいやせんか?お嬢ちゃん方はいやせんか?」
そう繰り返しているのが解った。
青葉:お嬢ちゃん方?
木山:伯母と母のことさ。男は、おばあさんのことを「お嬢さん」と呼んでいて、その子供である伯母と母は「お嬢ちゃん」と使い分けしていてらしい。
青葉:伯母さんとお母さんを呼んでいたのか。
木山:俺は、扉を向こうから叩く音と男の声を聞き、ビックリしたし怖くなった。家の中には俺の他に伯母と母だけ。男が家の中にいるはずがないんだから。
その場を離れて、伯母か母に事態を告げようと考えたが、何故か動くより先に叫んでいた。どんな言葉を発したか覚えていないが、とにかく大声を出した。いま思えば伯母を呼んだのかもしれない。
何!?どうしたの!!
そう伯母も大声を張り上げながら直ぐに駆けつけてきた。母も伯母の後を慌ただしく着いてきていた。
青葉:それで!
木山:俺は扉の方を指差したが、そんなことをしなくても伯母も母も事態を把握した。まだ扉は叩かれてたし、男は伯母や母を呼び続けていたからな。
伯母は母に扉の南京錠の鍵を持ってくるよう指示した。母は一度去り、程なくして鍵を持って戻ってきた。
鍵を渡された伯母は何も迷うことなく階段を降りて南京錠に鍵を刺して扉を開けた。
古い扉だけに、伯母は重そうに扉を押した。
その間、俺は阿呆の様に階段の上に立って経緯を眺めていた。どう行動していいのかサッパリ解らなかったんだ。
青葉:そりゃあ、そうだろうね。
木山:扉が開くと、中から大きな男が現れた。丸々太った、今まで見たこともない大きな男だった。
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