青葉 2012-01-06 22:03:27 |
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木山:そいつは初老の男で非常に痩せていたらしい。あばら骨が見えるくらいに。
おばあさんは結婚して山村に来たのだけど、男とはその前からの知り合いだったんだ。おばあさんの実家も山村程ではないが田舎で、それなりに大きな農家だったらしく、農繁期は忙しく家族では人手が足りず人を雇うことがあった。男はその雇った中の一人だった。
青葉:農作業に雇われた男?それがナイトメアの狩りをどう邪魔するの?特別な能力の持ち主なの?
木山:まあ、そうなんだけど順序通り話していくよ。
男は、土地の人ではなくよそ者でおばあさんの実家から少し離れたあばら屋に、いつからか住み始めていた。そのあばら屋は、おばあさん家の土地だったが、特に文句は言わなかったらしい。
男は仕事もなく貧乏暮らしをしているのが明らかだってので、農繁期にはおばあさんの父親が仕事をしてもらうという名目で、お金や食事を与えていたようだ。
青葉:名目?農作業して仕事をしたんだから、お金を貰って当然でしょう?
木山:男は能力的に問題があって仕事はしてもらったけど、簡単な仕事でもミスをした。つまり、あまり役に立たなかった。だから、本人のプライドを傷つけないように、仕事をしてもらっている名目で小金を渡していたんだ。
青葉:人手は足りなくても、金銭的に余裕はあったんだね。
木山:そうだったんだろうな。
おばあさんの実家は男を、寒い時期には家に泊めることがあったんだ。吹きさらしのあばら屋では忍びないと思ったんだろうな。
でも、その時の方が男は断然役に立った。
青葉:というと?
木山:子供たちのお守りに長けていたのさ。まだ子供だったおばあさんと、兄や弟達はみんな男か大好きで、男が泊まりに来るのを楽しみにしていたらしい。
青葉:おばあさんが子供の頃からの付き合いなんだ。
木山:そうらしい。
それで、男はいつも子供達と一緒に寝ていた。寝る前にはいつも怪談話をして子供達を怖がらせながら楽しませたそうだ。おばあさんは子供の頃、他の大人から怖い話を聞くと悪い夢を見るので、怪談話は嫌いだったが、男から聞いても何故か悪い夢を見ることがなかったらしいから、男の話は安心して聞いていたようだ。
青葉:仕事はできないけど、子供には人気がある人だったんだね。
木山:そうらしいな。
おばあさんが嫁に行くまで、男はおばあさんの実家にお世話になっていたが、嫁に行ってからは、伯母は男と会うことはなかった、という。
青葉:へえ。でも、再会があったんだね。地下の扉の向こうで。
木山:正確には、おばあさんが地下の扉の向こうの部屋に入る少し前だけど。まあ、そうだな。
青葉:男は何者なの?どうやって狩り20年以上もを邪魔したの?
木山:順序よく話すと、その話はまだなんだ。
伯母の話は、伯母が子供の頃に、ない鐘の音が山村に5回鳴り響き5人か自然死し、一人が行方不明になった。5人を殺めたのはナイトメアという魔物で、ナイトメアは人の中に閉じ込められていた。そのナイトメアは自分の特性によって人の中に閉じ込められていたが、出てくる予兆がある。ナイトメアが出てくる可能性が高いので、危険だから遠出をするな。ということだった。
青葉が訊くから答えたけど、行方不明者が俺のおばあさんだったことや、ナイトメアの狩りの邪魔する男のことを知ったのは後のことだ。
青葉:先走ってゴメン。
木山:いや。
青葉:でも、もう一つ。
木山:何だ?
青葉:ナイトメアは地下の扉の向こうにいた。つまり、伯母さんの家の中にいた。なのに、家の近くにいろ、という伯母さんの言葉は矛盾するよね。家が一番危険なのでは?
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