青葉 2012-01-06 22:03:27 |
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木山:いいよ。青葉が好きそうな話はある。話してみよう。
青葉:有難い。
木山:作り話でもいいならば。
青葉:つまり創作なんだね。
木山:いや、誰も信じられる話ではない。青葉もきっと作り話と思うだろうな。
青葉:うん?じゃあ、真実なんだね。
木山:まあ、その判断はお前に委ねるよ。
木山君は少し間をおいてから話し始める。
木山:俺の母の実家は山深い所にあるんだ。俺は毎年夏休みになると母に連れられて、その母の実家に行っていた。
母の父母はもう既に亡くなっていて、そこには母の姉が一人で家を守っていたんだ。俺にとっては伯母だな。
青葉:一人か。結婚していなかったんだね。
木山:ああ。してなかった。
その伯母は俺が行くととても歓迎してくれた。ずいぶんと可愛がってくれた。だから俺も伯母が大好きで、母は伯母に懐く俺の姿を見て呆れながらも微笑ましそうに、
「あなたは本当に姉さんのことが好きなのねぇ。」
とよく言った。
青葉:へえ。
木山:夏休み中はずっと伯母の家にいたから、ひと月以上の田舎暮らしだったんだ。とにかく、すごい田舎で家はまばらで人はあまり住んでなかった。東京から来ていた俺には、人なんかいなくても楽しかったけどな。大自然のに触れる機会は普段なかったし、伯母が飼っていた犬と仲良くなって、山の中や川の上流やいろんな所を一緒に探検して、本当に毎日楽しかったよ。
青葉:いいね。迷子になったら命の危険もありそうだけど……
木山:まあな。とにかく時間はいっぱいあったから、ある日外だけでなく家の中も探検した。田舎の広い家だったから、なかなか探検のしがいがあったよ。
青葉:うん。
木山:そしたらさ、普段使われていない家の奥の方に板の間の小部屋があったんだ。中に入ってみたけど窓なんかなくて薄暗く何だか怖さを感じたよ。そこは何も置いていない殺風景な部屋だった。ただ、その部屋の奥には地下に続く階段があったんだ。
青葉:察するに古い日本家屋でしょう?地下室なんてあるものなの?
木山:普通は無いものなのか?でも、伯母の家にはあったんだ。
青葉:そう。
木山:階下を見ると扉があった。暗くて怖いかったけど降りてみた。そんなに長い階段ではなかったけど一段一段が高く子供の足ではきつかったな。階段を降りきり、扉の前に立った。木製だったけど頑丈そうだったよ。とにかく俺は扉を開けるために扉を押した。何だか怖かったけど好奇心が勝ったんだ。
青葉:なるほど。面白そうな話だね。それで、扉の向こうはどうなってたの?
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