青葉 2012-01-06 22:03:27 |
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「普通ならば疲れたからって、そんなことは起きないでしょう!もし雪見は亡くなっているのならば、自分では気づかないうちに深刻な精神病にでもなってるとしか考えられない!一色君は何か知ってて隠してる。それは解る。お願い一色君、教えて!……それともヤッパリ……おかしくなってるのかな?」
菜奈緒が恐ろしく感じているのは、死者である雪見が学校に来たことではなく、来るはずなき雪見が学校に来た奇怪なことに気づかずにいたことの様だ。
「僕にもハッキリしたことは判らない。だから答えられない。それから、この件は首を突っ込まないのが最良の選択だと思う。ひとつ言えることは、佐野さんの脳は健康だよ。間違いない。」
こんな言葉で菜奈緒が安心するとも納得するとも思ってはいないが他に言葉がみつからない。
「何で首を突っ込まない方がいいの?それに何で脳が健康だと言えるの?全然腑に落ちない。ハッキリしなくていいから一色君が知ってることを教えて。そうじゃないと脳が健康でも心はどうにかなっちゃいそう。」
脳が健康でも心はどうにかなる、という菜奈緒の表現を面白く思った。僕は脳イコール心と考えていたが菜奈緒は違う認識らしい。
それは兎も角、菜奈緒は予想通り納得しなかった。
「普通ではない事態が起きているんだ。首を突っ込むと危険に巻き込まれる可能性が大きい。普通ではない事態だから佐野さん脳が混乱して当然だよ。深く考えないのが脳にも心にも良いと思う。その方が危険もない。」
ゼロではない菜奈緒は普通に日常を送るのが一番だろう。
「深く考えなければ明日から普通に過ごせるの?雪見が学校に来なくなるの?それとも雪見が学校に来るのが当たり前と明日から思えるの?そうなら一色君の言う通りにする。でも違うと思う。また明日も同じことで悩む。きっと悩む……。」
自分がどうにかなったのでは?と恐怖を感じている菜奈緒にとって僕の言葉は逆効果だった。僕の知っていることを聞きたいとより強く思わせてしまったようだ。
それに菜奈緒の言葉は的を得ている。明日になり登校すれば菜奈緒は学校にいる間は何の疑問もなく雪見と接するだろう。でも下校して学校で能力を振るっているゼロの能力範囲を脱したら同じことになる。
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