青葉 2012-01-06 22:03:27 |
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「解ったわ、一色君。あたしはあなたから離れる。」
そして、そう口を開いた。
「ありがたいです。」
心のそこからそう思った。
「でも、今日もう一度会ってもらうからね。どこかで待たせてもらうわ。」
嫌な提言だと思う。僕は日和に今は不快感しかない。
「正直な気持ちを言えば、もう今日は会いたくありません。」
クスッと日和は笑う。
「正直ね。本当に。でも、これを呑んでくれなければ付きまとうわよ。さっき電車内で一色君が考えてたように、走って逃げたとしても行き先を知ってるから逃げ切ることなんて出来ないわ。」
「………。」
「呑めばいいじゃない。そうすれば一色君は晴れて雪見さんと二人で会えるんだから。それに時間も問わない。ゆっくり再会を堪能していいのよ。野暮なことをするつもりはないからね。ただその後あたしに時間をくれればいいのよ。勉強する時間が減っちゃうかもしれないけど、そんなの一色君なら心配ないわよ。」
何だか馬鹿にされてる気がするが日和の方が年上だと思えば仕方ないのかもしれない。
「さっき日和さんは言ったじゃないですか。雪見の家に入ることはしないと。」
「そう言ったけど一色君があたしを拒むならば仕方ないじゃない。雪見さんの家まで喰らいついていくわ。あたしには一色君が必要なのよ。」
「ゼロの能力の影響を受けない僕の情報が必要なだけでしょう?」
「そうよ。つまり一色君が必要なのよ。それとも、あたしに違った意味で必要とされたいの?そんなはずないわよね、あたしは人前で異様な表情をしたり奇態をとるんだから。異性として感じてないでしょうね。」
やはり日和は僕の発言を根にもっていたようだ。
日和の人間味を感じてしまい、日和への不快感が薄れていく。そのせいか僕は取り敢えず今だけ日和が離れてくれるだけでいいと思う。雪見に会う間だけ邪魔されなければいいと。
「解りました。雪見に会った後に日和さんと会います。」
「それがいいわ。お互いにね。」
「でも会ってどうするんですか?」
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