青葉 2012-01-06 22:03:27 |
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「僕に対して否定的になるそうです。」
僕の言葉を聞いて日和は言う。
「そう聞くと言ったような気がしないみたい。それで、本当にあたしは一色君に否定的だったの?」
「そうだと思いますよ。日和さんは学校にいる間は僕を一番に疑っていましたから。そして、それは今もでしょう。僕を一番疑っている。」
「 まあね。それで駅まで行けばあたしの思考は自分のものになるの?」
それが問題だ。学校を離れなけばならないのは解っているが、
どこまで行けば日和が能力の影響下から解放されるのかは見当がつかない。
「解りません。朝とは状況が違いますから。」
「どう違うのよ。」
「朝、学校の近くまで一緒に登校しましたよね。その時の日和さんは……覚えてないのかもしれませんが僕に肯定的でした。だから朝の状況のままであれば、何処まで行けば日和さんが能力の影響下から逃れられるのか判るんですが……。」
僕は言葉を止める。今の状態の日和に何処まで話すべきか迷う。
「が……何よ?」
当然ながら日和は僕の話の続きを待っている。
「日和さんに能力を仕掛けているのは僕ではなく新里です。新里には朝と違って雪見がいます。雪見が現れたことで状況が大きく変わり、どこまで行けば日和さんが新里の影響下から逃れられるのか解らなくなってしまったんです。」
僕は日和が今の状態でも、知りたいことを話すことにした。何処まで行けば日和が能力から解放されるのか解らないし、解放されるまで日和の知りたいという気持ちをかわすことは、きっと出来ないと思ったからだ。
「朝と違って新里君には雪見さんがいる?一色君が言ってる意味がよくわからない。」
確かに、こんな中途半端な所から話しても解らないだろう。もっと前から、そして根本的な所から話さないといけない。
「日和さんがこの学校に来たのは雪見が普通では考えられないようなかたちで命を落としたからです。雪見の亡くなり方の異常さから犯人はゼロだと踏んだんでしょう。犯人を探していました。その第一候補は僕ですが。」
日和は歩く速度を早めて僕の前に立ち塞がり僕の足を止めた。
「ふざけてないで真面目に話してよ、一色君。」
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