青葉 2012-01-06 22:03:27 |
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あの時の僕は日和側にとって、雪見爆死事件犯人の最有力候補だったはずだ。そんな僕が危険な目に遭うという動きがあったのに、家に帰そうとしてどうするつもりだったのだろう。そんなことがあったら、学校に留まらせて僕の動向を追うのが定石だと思う。それとも僕の考えが及ばない思惑が何かあったのだろうか。だいたい面倒とは、どういった意味なんだろう。面倒なのが嫌なのは万人に共通している。だから、そこはいい。原先生が何を面倒だと思っているかだ。
「僕が学校にいると何がそんなに面倒なんですか?」
「面倒なことになるかもしれないと思ったのよ。 一色君はあの時、危険な目に二回も遭ったんだから気持ちが動揺していたのは確かでしょう。そんな中で何かあったらことじゃない。」
どういった意味だろうか。何かとはなんだろう。
「僕はあの日、校長室に呼ばれた後も窓ガラスやコウが頭上に落ちてきました。それが解っていたんですか?そのことが面倒だと思ったんですか?でも先生はそんなことが判る能力はないはずですよね。」
「当然だけど判らなかったわ。そんなことじゃないの、一色君。全然違う。先生はね、一色君を直ぐに家に帰さなかったことで、一色君の保護者に苦情を言われるのが嫌だったのよ。」
ますます解らない。話がみえない。
「何で苦情を言われると思うんですか?あの日、先生が僕の家に電話して母と話したんですよね。それで、家に帰るか帰らないかは僕の判断に任せると母が言ったわけですよね。ならば母が文句を言う筋合いはないじゃないですか。それに帰らないと判断したのは僕です。何かあっても僕の責任になりますよ。」
「最近の保護者はね、自分の言ったことなんか簡単に覆して、理不尽にも文句を言ってくることがあるのよ。知ってるでしょう?」
「僕の母はモンスターペアレントではありませんよ。」
「そう一色君が言うならそうなんだろうけど、あの時は判らなかったから。起こるかもしれない危機を回避しようとするのは悪いことじゃないでしょう?」
僕の意思を顧みずに行おうとした危機回避を支持する気にはならなかったので訊かれても言葉が出ない。
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