青葉 2012-01-06 22:03:27 |
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「自分でもそう思うのね。」
「思います。僕の能力はゼロの能力が効かないと言いましたが、効いてしまうこともあるんです。例えば日和さんに初めて会った時は日和さんの存在感を全く感じなかったし、その少し前には日和さんの仲間に思考を変えられて行くつもりのない屋上に足を運んだ。言いかえると僕は能力が使える時と使えない時とがあるんです。何故そうなるのか解りません。」
何か能力を使うには条件があるのだろうか。
「いつ自分がゼロだと実感したの?」
冴えない顔をしていた日和が、時間と共に表情が生き生きとしてくる。自分が何故この学校に来ているのか考えているのを僕と話すことで止めているからだろうか。
「今日です。今日の朝、日和さんと別れて学校に来てからです。」
「そう。じゃあ能力の発動を一色君が意識するかしないかは関係ないわね。あたしと二度目にここで会った時は一色君にあたしの能力は効かなかったもんね。意識しなくても能力は発動できるということね。」
「そうなります。」
「じゃあ、あなたが能力に目覚めたのが最初にあたしに会った時と二度目に会った時の間ということじゃない?」
そうかもしれない。それは僕も考えたことだ。だがもっと期間を限定できる。最初に日和と会った後からコウが転落した日の朝までの間だ。あの日、僕は新里からの連続攻撃を受けたが全てかわした。可能性のある考えだとは思う。しかし、それはあまりにも僕にとって都合のいいタイミングだ。新里を迎え撃つために能力を得たみたいで何だかしっくりこない。だけど、
「そうかもしれません。」
と、僕はそう答えた。僕にとって都合がいいだけでは否定するには弱い。だが、日和は僕の釈然としない表情を読み取った様で別の可能性を提示してくる。
「そうでなければ、一度はゼロの能力を受けて影響下に身をおかないと能力が発動しないんじゃない。ゼロの能力を細菌とすると一色君の能力は抗体みたいな感じで。正しい例えなのかは自信がないけど。」
一度は能力を受けその影響に服するが、二度目からは影響を受けないということだろう。しかし、それは違うと断言できる。新里は僕を本気で攻撃してきた。新里ほどの力があれば一度能力を受けた時に、新里の狙い通り僕は大ケガをしていただろう。
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