青葉 2012-01-06 22:03:27 |
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「過去二回、日和さんと屋上で会った時の状況を思い出したんです。今もそうですが、日和さんと僕が屋上にいる時は他に誰もいません。二人きりです。」
「だと何なの?」
きっと、ここまで言っただけで僕の言いたいことは日和には解っているのだろうと思う。ただ日和はまだ何も気づいてないふりをしている。
「何故いつも他に誰もいないのか?そう思いませんか?」
「別に思わないわ。まだ三回くらいだもん。偶然でしょう。一色君の観察力は大したもんだと思うけどね。」
「偶然?違います。必然ですよ。」
今の日和は頭脳的に不調だと僕は思う。普段の日和ならば、自分が隠したいことでも僕が真実を見抜いている時は、時間の無駄だと思うのだろう、しらばっくれることはしない。
「そう?必然なの?」
「この屋上は本来は閉ざされているんです。施錠されていて誰も好き勝手に入ることができません。僕が入学した時からそうでした。」
「じゃあ、今は何で開いてるの?前に一色君と会った時も何で開いていたの?」
「どうやって屋上を開放したのか、という意味での質問ならばそこは何故なのか解りません。例えば日和さんの仲間のゼロが何かしらの能力を使ったのかもしれません。」
屋上開放は日和と仲間の仕業だろう。どうやったのか僕が訊きたいくらいだ。
「一色君は、あたしの仲間の能力は扉の鍵を開ける能力だと思うの?」
面白いことを言う。僕にはない発想だ。どんな鍵でも開けられたら便利だろうと思う。でも用途は良からぬことになりそうだ。
「いえ。能力を使って屋上を開放したというのは、一つの可能性であって実際は判りません。能力は使わずに他の方法で屋上の鍵を開けているとも考えられます。正直に言って、どうやって屋上を開放したかはあまり問題にしていません。それはいいとして、実は屋上は開放されているけど、誰もそれに気づいてない。そこが大事なところです。ここに人が来ないのは未だに誰もが屋上は閉鎖されていると思っているからです。」
「実際は開いているけど、心理的には閉まっているのね。それでいつも、あたしと一色君二人だけと言うのね。でも、一色君は何故ここが開いていることを知ったの?」
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