黎貴 2011-11-25 19:32:29 |
通報 |
河合は、無意識に駅へと足を動かしていた。
公園を通り過ぎるところで、カップルにぶつかった。
こんな時間にうろつくなよ。
自分のことを棚に上げ、河合は苛立ちを隠せなかった。
手がコートのポケットに伸びる。
「痛いっ!キャー!」
カップルの片割れ……女が大袈裟に身をよじった。
「大丈夫か?シオリ!」
「えーん…タッくん、痛いぃ~…」
くだらない会話を聞きながら、河合はそっとポケットに手を入れ…
ナイフの存在を確かめた。
カバーも何もつけていない刃先に人差し指が触れた。
そこからするすると指を移動させ、柄を力強く握った。
「何で夏なのにコート着てんの?」
「ガチで暑苦しーなww」
…………………………………………グシャッ……ブシュッ………キャアッ!…グサッ……………ドサッ……………………
河合の目には、もはやカップルも写っていなかった。
倒れて血を流していてもなお、河合はカップルを見なかった。
血まみれのナイフを握ったまま、雨と血でビショビショになりながら
河合は駅へ向かった。
そんな河合の虚ろな目は、神崎をとらえた……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
神崎は驚愕した。
血と雨でビショビショの河合、そして河合の後ろには……
河合が殺ったと思われる、カップルの亡.骸。
「なな、何…これ。藍ちゃんが…やった、の??」
河合藍(カワイアイ)…もとい河合は、静かに肯定した。
「恒くん…藍のこと、嫌いになった…?」
神崎恒(カンザキワタル)…もとい神崎は、言葉を失った。
「ごめんなさい…恒くん、嫌いにならないで…藍は悪い子…?お願い嫌わないで恒くん!ごめんなさい!」
神崎はそっと河合を抱きしめた。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「落ち着いて、藍ちゃん、落ち着いて!」
雨の降りしきる東京に、神崎の声がこだました……
<………ツ……………ヅ…ク……>
*後書き(?)*
第二話ですっ!!
神崎=男、神崎恒
河合=女、河合藍
てことですっ!
第三話はまた近いうちに更新します!
では★ノシ
トピック検索 |