黎貴 2011-11-25 19:32:29 |
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…サク……サク…
「おーい、起きろ、候。」
俺の唯一の理解者、雪の声で目が覚めた。
「あ……雪。………!!!俺、寝てた!?」
「うん。」
雪の一言で俺は絶望した。
諦めても、投げ出しても、まずいことはまずいのだ。
「ヤバい、俺、研究途中!携帯もっ!あの女っ!…………ああああー、もう!!!!!」
「落ち着け、候。研究は片付けて来た。あの女は謝って出て行った。あと……」
そこまで言い、雪は自分のポケットを探り始めた。
「ホラコレ、携帯♪」
そう言って俺に携帯を渡した。
「はぁ…。ありがとう。」
「気にすんな。同じ<ケンキュウシャ>の仲だろー?」
「ああ。学校に仲間が居て良かったよ。」
「俺もだ。それより…お前、まだあの研究、続けてんのか?」
「ああ、まあな。あれが終われば、親父を生き返らせることが出来るんだ。」
「無茶すんなよ…?」
「大丈夫、だ。ありがとな。」
「いや……、で、どうする?戻るか?それとも」
「このまま、あっちに行って、昨日の続き、しようぜ。」
「やっぱりな。分かった。とりあえず帰る準備するか?」
「いや、バックレる。あんなもん盗まれたって、上がいくらでも支給してくれんだからさ。」
「そうだな。昨日、どこまで行ったっけ?」
「人間細胞の復元。今日はそれの増量化。」
「OK、行くぞ。」
「今日は俺がレポート担当か。くっそ、実験してえ。」
「昨日は俺がレポートだったんだぞ。変わりばんこだろ?」
「まあな。」
「つーか…レポートじゃなくて、報告書、な。」
「上の奴等は、報告報告うるせぇよな。」
「それに忠実なのが、<ケンキュウシャ>……つまり、俺達だろ?」
「だな。さて、マジで急ごうぜ。」
「はいはい。」
そう言って、俺達は校門を飛び越え、歩き出した。
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