黎貴 2011-11-25 19:32:29 |
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パシャッ
今日も俺はシャッターを切る。
「ふがぁっ」
「何の音だ、何の。まさかお前の口から発せられた訳じゃあるまいな。」
隣りで机に頭から突っ伏して奇声を発するすは俺の部下。
しかし、奇声を発する気持が分からない訳ではない。
5ヶ月先までさし迫った議題が中々決定しないのだ。
大きな原因は、対立派のグループにある。
この議会は比較的新しい人員で当たる事になり、纏まりが無かった者を一挙に俺の部下がまとめあげた。
それは評価に値する。
しかし、どうやらそれが気にいらない連中が居たらしい。
会社では、比較的新人の部類に俗するアイツはよく働くし、上層部へのウケもいい。
それは一様に人好きのする性格とその話のうまさにあるだろう。
しかし、どうやらその話かたで舐められているとかんちがいした女性社員に、今回目の仇にされてしまった。
「先ー輩ー、私の議題はなーんで一どは日の目を見るのにすぐにお蔵入り何かですかねぇ・・・」
「案が奇抜すぎるからだ、誰がまっ青のビールなんぞ飲みたがるか。」
「でも、御祭のカキ氷のブルーハワイはまっ青ですよー」
「そうか、原液でのんでこい。」
「いやん、そんな、でもセンパイのハートは私に届いてますよ、ん~むぁっ」
そして、なげキッスのポーズを机につっぷしたままする。
ご丁寧に効果音までつけてくれた。
「そんな不気味なものとどけた覚えは無いわ、さっさと連中と仲なおりしてこい。ガキか」
そう言うと机にの上で頭を回転させ初めた。
すこしほつれていた髪が寝起きと同じほどにぼさぼさになる。
「えええぇー、私はちゃんと歩みよってるんですよ?毎回話かけたりして。」
「そうか、そうか」
あいつがのたうち回るのを視界のはしでとらえながら次回使うであろう議題を写真に収める。
これでしりょうの不備はないだろう。
「センパイは、人脈やたらありますし話巧みに相手を威圧させますしもう、センパイがやっちゃってくださいよ。」
「おお」
ああ、そういえば新入社員用のパンフレットの写真もとらなくちゃいけなかったか。
パシャッ
部屋の一角を写真に収める。
「そうそう、今度センパイ合コンにつれてこいってあの子達に言われててですねー。」
「おまえら実は仲いいだろ。」
議会であんなに睨みあっていたのは何だったんだ。
心配した俺がまるでおばかさんみたいじゃないか。
そんなような事をあいつに言うと
「あははー、センパイは分かってないですねー。女の子は皆そんなもんですよ。
男の子には分からん世界何かですよ。」
「なら一生わからんでも大丈夫だ。俺は女ではない。」
「私より顔は女みたいですけどね。」
「おまえの顔つきは中の上ぐらいだぞ?」
「やだ嬉しい、私もセンパイのこと好きですよ。」
「・・・・・・・・・・」
「えっちょっと何かで無言なんですか!?何かしら反応してくださいよっ、じみに傷つきますよ!?」
ここで初めてあいつは顔を上げた。
頬には書類の痕が赤くついている。
間抜けな顔で、必至に話すあいつに何故だか笑みが漏れる。
「ちょっとセンパイ!?えっちょっと!?私の求愛はそんなに不愉快でしたか!!大丈夫です安心してください。そんなに強い毒性は持っていなかったはずで
パシャッ
今日も俺はシャッターをきる。
ファインダーにはあいつの間抜けな顔が映る。
「何するんですかっ!!もっとイケイケな時に写してくださいよ、それに撮るの何回目ですか!?」
「知らん」
「そんな雑なっ!!」
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君が好きと言うかわりにシャッターをきった。
閉話
「ねえ、凛。橋本部長つれてきてくれた??」
「もっちろん。私の愛しのダーリンはちゃんとつれてきたよ!!」
「・・・・・・・・ちょっと、凛。どういう事??」
「おい、原田 凛は居るか?」
「ダーリンッ」
「キモチ悪いわ」
「ヒドイっ!!」
「・・・あの橋本部長が笑ってる・・。」
「うちのダーリンは無愛想だからね。」
「誰が無愛想だ。」
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