黎貴 2011-11-25 19:32:29 |
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【Une mémoire】
誰も居なくなった放課後の教室。外から桜の花びらが一枚机の上に舞い込んできた。
「桜…か。もうこんな季節になったのか…。そんなことより侑杏。実亜。昴。稜…元気してるかな…」
一通の手紙に同封された写真を眺めながらつぶやいた。
その写真はかつて璃海が住んでいた町。空花村に住んでいる村長から届いたものであった。実は空花村は少子化の影響をモロ受けている村であり、今ではもう小学校も、中学校もない場所である。そんな村の最低年齢は35歳どこぞやの引きこもりニートである。
なんでこんなことをずらずら並べたのか不思議に思うがあえて触れないことにしよう。
あ、一応俺の自己紹介な。名前は雀草 璃海(すずめぐさ りう)。中学一年。今年で二年。小学校は空花小だったんだが、ある事情で今住んでる町に引っ越してきたんだ。
とまあ、なぜいきなりこんな手紙が送られてきたのか説明する。長いので簡潔に言うと「廃村する」らしい。途端に涙が溢れ出て沢山の思い出がフラッシュバックしてきた。
さて。僕は忘れないうちにこのことを物語として書き、残したいと思う。
これをみている皆さんにとってはこれはただの物語だが、僕ら空花村に住んでいた人には大切な話。読んでもらっても貰わなくても変わらない話だよ。
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