黎貴 2011-11-25 19:32:29 |
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「ねぇ!誰か居るんでしょ?」
うるさいなぁ
「返事してよ!」
「······さい」
「え?」
「うるさい!!」
私は吠えた。
「人間ごときが入って来るな!!」
恐怖も忘れて。
「·········」
人間がいきなり黙りこんだ。
そして、私は起き上がり
おもむろにレンガを見た。
その時
「トスッ」
私が積み上げたレンガを
軽々しく飛び越え、
此方へと向かってくる。
私は呆然としていた。
そして彼女は私の頬を触り言った。
「冷たいね」
「ずっと一人だったんだね」
「寂しかったね、ずっと・・・・・・」
私は信じられなかった。
人間なんて皆同じものだと
思っていた。
だから、驚いて人間の手を振り払い
とっさに走って逃げた。
少したって、城に戻った。そこには人間の姿はなかった。
私は窓からレンガの外に居る
人間達を見た。
新しい出会いがあって繋がっていく。
いつもここから見ていた。
いつも恨んでいた。
私は繋がりなんて要らない。
欲しくない。
だからドアを作らなかったんだ。
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