『２人が織りなす景色』

（珍しく寝落ちてしまう程切羽詰まり緊迫しているらしい。頭痛が治まる迄、少しのつもりだったが。彼が帰宅して、触れられる迄人の気配に気付かず寝ていたなんて。普段なら有り得ないし、体調が悪いからとは云え弛んでるんじゃないか。己からぱっと離れ、眉が微妙に下がっている彼を一瞥し、緩く頭を振っておいた。寝ていた自分が悪いんだから。そんな自身に彼は珍しくて、と言うよう興味を示してしまったんだ、唯其れだけの事。起きた時に教材を顔面へ被せていた筈が、先ず彼の姿が視界に映ったのは吃驚したが。密かに胸を撫で下ろしておく。閉めたＰＣについては、見せてはいけないワケではないが、彼が見てどんな反応をされそうか、分からなかったから。ふい、と彼へ視線を向け大丈夫か聞かれたような気がするが、気の所為だったか。心做しか視線が鋭くなったのと、何か言い掛けていたような彼に、怪訝そうな目線へなる。纏めた薬物の資料を気紛れに彼の仕事へ役に立てれるかと手向け、警察内の隠語で掛け合いしようと。自身もソファーに腰を据え、此の儘では休み安静にするつもりは無いらしく、作業に戻ろうとする。）
其れって薬物の事か。ホシが捕まえられそうな良い局面にでもなったんかな。
うん、まぁ…忙しい事此の上ない。だから此れ以上は休んでる暇などねぇ。