『２人が織りなす景色』

まぁ、そうでしょうね…私の顔はうさんくさいですので
そう否定しなくてもいいのに
(よく言われる嫌味を自虐気味に言ってみる。張り付いてしまった笑顔を戻すには至難の業で。いつもはツンツンとしているというか、威圧感のある彼の初めて見る表情に興味を持ってしまって。近くなった時に見えた彼の表情を思い出して、むしろ押しのけてもらった方がマシだったと。驚いた時に瞬きする彼の顔、またこれも初めて見る顔でドキリとしたのは確かで。距離の事を言われ「それは確かに」と、苦笑して。冷静を装っているつもりではあるが、それはいつでも指摘されたら剥がれるくらいに、動揺が見え隠れしている。ここで躊躇ってしまっては、なんだか意識しているのをバレるのが心がゆいというか、年上としての威厳がないというか。震える指先を抑えグラスに口付けて。自分で作ったものにしては美味だ、自分の時間がある時にでも作ってみようなんて。癖なのかグラスの自分が口づけた箇所を、近くのペーパーで拭いて、再度彼へと差し出し)
ありがとうございました、なかなか美味しいですね