割り勘にしましょうか。(〆)

いえ、どれも違います。
（此方に向けられた双眸を見詰め返しながら相手の余計な一言にも動じずキッパリと上記告げ。否、眼前に居る彼は世間一般的に見れば容姿端麗な部類に入るんだろうが、何しろ他人の見た目にさほど興味が無いのだ。では何故お礼に対し割り勘を提示するのかと言うと）
──連絡先を交換しませんか？
（これは決して口説きじゃない。一風変わった男の立ち振る舞いが、小説家の直感にクリティカルヒットした。“この人と居れば面白いものに遭遇出来るかも”ただそれだけの事。新作のネタ探しに明け暮れていた自分にとってこの出逢いは非常に好都合なのである。しかし敢えて素性は明かさず、「貴方の瞳が映し出す世界を見てみたくなった」とダメ押しに付け足してみて。）