匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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……てっ!
(額に一撃食わせられると小さく声を上げてビクンと尻尾が跳ねる。しまったと思い何とか取り繕おうとするが、彼女の"狸寝入り"を耳がぴくんと感知すると、観念したように目を開けるとまるで悪戯を咎められた子供のように呟く)
あんな下品な者共と一緒にするでないわ…"九尾寝入り"と言わんか。
…お主が居なくなったから目覚めてしまったんじゃ。お主が悪い。だのに我に狼藉を働くとは。最近の女子は斯様に乱暴なのか。
(イナリは狸が嫌いだった。狐妖怪の中でも小柄なイナリは狸達の格好の揶揄いの対象だった。子狐妖怪だった時分には落とし穴に落とされ、尻尾を掴まれ、欠伸をした時に口に中に唐辛子を入れられ、年がら年中悪戯されていた。極めつけはイナリの変化への熱意を見た狸が「この変化バカ」とイナリに軽口を叩いた。以来イナリは狸が嫌いだった。だからこそ彼女の狸寝入りには、そこそこ不機嫌そうに抗議する。狸と名のつくものは、たぬきうどん以外全て消す。それがイナリの密かな野望だった。
彼女のデコピンは軽かったが痛みを感じなかった訳では無いので尖った口をもっと尖らせて抗議する。妖であるイナリにデコピンまでしたのは彼女が初めてだ。この人間は本当に自分を妖だと思っているのだろうか)
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